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NHK杯に見る受けの手筋

(2014年11月24日出題)

第476問(2014年11月23日 畠山鎮七段-熊坂五段戦)
(問476-1)
先手畠山七段、後手熊坂五段で戦型は後手の角交換振り飛車。後手は四間から向かい飛車に振り直し、先手は銀冠に組んで駒組みを進めた。そして中盤、いきなり▲7四歩と美濃のコビンを攻めて戦いが始まった。これに手筋で応戦すると、先手の歩得生角対後手の手持ちの角という構図で局面は動いていった。
そして下図。今▲4八飛と回って、次に▲4五歩から▲4四歩を見せたところ。単純な攻めだが歩のない後手はこのままでは受けがない。そこで指された後手熊坂五段の指した一手は?飛車回りを逆用して反撃に出た。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問476-2)
下図は▲7三桂成△同桂となり、この局面は角銀と飛桂桂の交換で後手の駒得。△3二の飛車が重荷になっているとは言え、△2九龍の威力も大きく後手優勢。ここでこれ以上の差を付けられずに追走する手段は?後手からの攻めで厳しいのは△8四桂だが、直接これを受ける手はない。そこで指された先手畠山七段の指した手は何か。ここから5手まで想定して粘れる順を考える。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問476-1解答)「角の引き場所を作る軽手」
ここで熊坂五段の指した一手は△5五歩。これが軽手だった。本譜もそうなったが、▲同角と取らせれば△2七角と打って、△5四角成の場所を作れる。と同時に▲4五歩も角で取れるという訳。もちろん、△5五歩を取らずに▲4五歩なら普通に△同銀と取れる。

本譜は結局▲5五角と取るよりなかった。そして△2七角に▲4五歩と進めて△同角成▲同飛△同銀とここで大駒の交換が行われ、先手で△2八飛と打ち込んだ後手がやや有利なまま終盤戦へ入っていった。

(問476-2解答)「馬の利きで粘る」
問題2図での5手は▲4三銀△3一飛▲4二銀不成△8一飛▲3三角成。
まず▲4三銀だが、攻めの手のように見えても実際は馬を作りに行く受けでもある攻防手。但し、普通このような場所に銀を打つのではまず勝てないし、筋の悪い手と言える。しかし実際は銀を手放す以上に馬を作り5五の地点を開けて▲5五桂の攻めを見せるのが良いと判断したのだろう。

本譜はそれでも後手の有利は変わらなかったが、この後▲5五桂に△5四金と上がった手が強気すぎでまずく、後手玉が急に薄くなった。そして最後は後手玉に必死が掛かり、先手玉は詰まず先手の逆転勝ちで終わった。
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