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NHK杯に見る受けの手筋

(2015年7月20日出題)

第508問(2015年7月19日 藤森四段-甲斐倉敷藤花戦)
(問508-1)
先手藤森四段、後手甲斐倉敷藤花で戦型は後手の向かい飛車。後手が早い段階で2筋を切りにきた為、先手は取られるのを覚悟で▲2三歩と打ち、この歩を取らせている間に居飛車穴熊へと組み替えた。その後(感想戦では)すぐに後手から動いていればまだ難しい形勢になったかと思われたが、その機を逃し先手から機敏に動かれると先手の穴熊が存分に生きそうな展開に進んだ。下図はその中盤。△2二飛と回っている以上△2六歩から飛車先突破をしたいのは山々だがとても遅くて間に合わない。今までの指し手を否定するものであってもここで差をつけられない為の一着とは?後手甲斐倉敷藤花の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問508-2)
先手は大幅に駒得をし、勝利まで目前。今△6八歩と垂らされたところで、次に△6九歩成〜△7九と〜△7八金と打たれて初めて一手スキ。と言うことはこの歩は四手スキだ。なので普通は、飛車を取って以下は二手スキで攻めれば良いと考えるところ。ただ誰でも分かる明快な決め手が見える訳ではないので、ある意味勝ち方の才能を見せられるところでもある。
ここで指された先手藤森四段の指した一手は?一手勝ちを目指すのではなく、確実に勝つ辛い一着を放って勝負を決めた。その一手とは?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問508-1解答)「目標になりそうな角を馬に」
ここで△2六角と飛び出したのが粘りのある好手だった。△2六歩から飛車先突破出来ないのは残念だが、角成りを受けるピッタリした手もなく、本譜▲5六飛△4八角成と進めば飛車をいじめる手も生じてまだまだ難しい局面は続きそうに見えた。

しかし、おそらくは秒読みに追われて△6五歩と呼び込んだ手が疑問で形勢は急激に先手に傾くことになった。

(問508-2解答)「利きを一方に限定する歩」
ここで▲4七歩と打った歩が何とも辛い一着。こうした大駒が縦横に利いている時に、どちらかに利きを限定させる為にその大駒に当てて打つ歩というのは時々出てくる手筋で好手になることが多い。ここでも△6四から利きが外れれば▲6四飛が生じ、△1九馬などこちらの利きを保持すれば△6九歩成〜△7九との時、▲同銀と取り返す手が可能になる。

本譜は、馬を逃げてもじり貧ということで、△6九歩成から△7九とと一枚金をはがしたが、▲4六歩と馬を取られるとやはり後続手もなく、その後すぐに後手の投了となった。
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