第530問(2015年12月20日 澤田六段-広瀬八段戦) |
(問530-1) 先手澤田六段、後手広瀬八段で戦型は矢倉脇システム。後手が△9三桂から△8五桂と跳ねて先攻すると、先手は▲6五歩と銀を呼び込み、▲7三角と打って先手の攻めを余す作戦に出た。 そして下図、今、矢倉に良く出る△7七歩を打たれたところ。これに先手はどう応対するのが良いか。ここでは問題に正解するというよりどのような指針を持って指すべきかということを考えて欲しい。 (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問530-2) (感想戦では)先手にやや疑問があり、細かった後手の攻めをつなげさせてしまった感じの下図となっている。今、△5九飛と打たれた所で、これが厳しい。▲5六の金取りであると同時に、△5八飛成からの詰めろでもある。ただ、やや苦しいかもしれないが、ここを凌げば駒得が生きてくるのでまだ粘りたいところ。ここで指された先手澤田六段の指した手は? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問530-1解答)「歩を払うか金をかわすか」 矢倉における△7七歩は非常に良く出てくるが、その時の状況によって常に応手が変わる。ここでは▲7七同桂と本譜の▲6八金寄のほぼ二択。実は答えとしてはどちらも正解にしたい。感想戦では、▲同桂と取っても、▲6八金寄とかわしても後手が攻め切るのは大変だったようだ。 取るかかわすかの考え方としては、大きく三つ。まず▲同桂と取った時、△9七桂成と逆に来られて攻められる手は大丈夫かと言うこと。二つ目は、後手の持ち駒の有る無しで、特に歩がもう一枚あり、再度△8五桂から△7七歩と叩かれないかどうかと言うこと。そして三つ目は、桂交換した後、厳しい攻めがないこと(たとえば先手の角や金が▲4八にいて△3六桂と両取りがかかるなど)。こうした攻めがないなら、また取る手もかわす手もあるようなら、基本は取る手を選択した方が勝ちやすいと思う。それは、△7七歩を残して置くと、ちょっとした見落としで寄ってしまうことがあるからである。 本譜は、△4七角成に▲5七銀と引いた手が自然に見えて疑問だったようで、△5五歩▲同馬に△5四金とこの金を使えるようになって後手の攻めが切れなくなった。感想戦では、▲5七銀のかわりに直ちに▲4九香と打っていればまだ先手が面白かったようだ。 |
(問530-2解答)「上部への脱出」 ここで▲6七角と打てば一時的に金と香を守れるが、△5八銀で逆に玉が守れない。ここでは、▲6七玉と上がるのが第一感でこれしかない手段。とにかく上部への脱出を見せて、攻めを催促するのがこうした局面での勝負術だ。 本譜は、△8九飛成に(△8七龍を防いで)▲7六銀と守ったが、今度は△6四桂があり、容易に後手の攻めを防ぎ切れない展開になった。それでも馬を二つ作り、最後まで入玉を狙い受け続けたが、駒の入手がはっきりすると投了、後手の広瀬八段の勝利となった。 |
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