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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年9月26日出題)

第567問(2016年9月25日 郷田王将-高見五段戦)
(問567-1)
先手郷田王将、後手高見五段で出だしは横歩取りの進行。しかし先手が横歩を取らず▲5八玉とすると後手も△5二玉とし、▲2六飛△8五飛から前例の少ない相居飛車戦となった。その後、先手の郷田王将が序盤から意表の仕掛けを敢行、(感想戦によれば)早い段階で角を打ってけん制すれば難しかったらしいが、実戦は後手陣がバラバラなまま飛車交換になり先手がポイントを稼いだ。下図はその直後、△2七角と打ち△4九角成からの攻めを見せ、(自然に見える)▲3八歩なら△4五角成と成り返り、△6六桂で勝負しようとしたところ。しかしこれを受けずに強く▲2一飛と打ち下ろしたのが下の局面。この飛車打ちは厳しい。△3一銀の処置が難しく△4九角成から攻め切れないとなると後手が窮しているようだがここで後手の高見五段はどのように指したか?この後の進行を五手まで。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問567-2)
終盤、先手は▲2二歩成から▲3二とが約束されている。対して後手は駒不足なので先手優勢。しかし今△1八龍と王手で様子を聞いてきた。こうした王手は受け間違えるといっぺんに逆転することもあるので注意が必要だ。後手からの攻めを考え、ここはどのように応接したら良いか?先手郷田王将の指した一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問567-1解答)「相手の金を取って受ける」
実戦の進行は、△3二銀▲3一飛成△4九角成▲同玉△4一金だ。後手陣だけを見れば、△4二銀とかわす方が自然だが、▲2三角と打たれると、金取りと▲4一角成を見られ敗勢。そこで金の入手を前提に△3二銀と飛車取りに立って受けたのが実戦。▲3一飛成で金がなければ受け方がないが、その金は王手で取れる。なお、△4一金では△2一金と龍を捕獲する手も見える。但しここでは▲6四桂△同歩▲6三角がある為、△2一金ではすぐに負けてしまうが、この筋させなければ(先手に桂がなければ)△2一金も成立するので覚えておきたい。

本譜は、▲1一龍と追い返し、後手陣は固くなったが攻め駒不足。▲1二角から▲2三歩と確実な攻めで後手の焦りを誘った。


(問567-2解答)「(将来の)成り駒から遠ざかる」
▲4八銀は△3六桂を打たれてしまうが、▲4八へ香や桂を打っておくのは安全に見える。しかし後手の勝負手は△4五金から△3七香成の攻め。ここに香を成られた時のことを想定すると、実戦の▲6九玉が最も自然で安全となる。将棋の大きなセオリーでは玉は下段に落ちた方が危険(実際この局面も後手に金があるといきなり△5八金▲7九玉△2九龍までの詰み)なのだが、やはりその局面ごとに正確に読みを入れる必要がある。金さえ渡さなければ先手玉はかなり安全で、▲2二歩成から▲3二とが間に合うという訳。

本譜、この図の一手差勝ちは明快で、▲2二歩成に後手は一旦△5一金右と辛抱を見せたが、先手も▲4六銀と▲6四桂からの攻めを見て味良く駒を使え、69手という短手数で先手郷田王将の完勝譜となった。

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