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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年10月10日出題)

第569問(2016年10月9日 屋敷九段-佐藤和俊六段戦)
(問569-1)
先手屋敷九段、後手佐藤六段で戦型は後手の三間飛車。但し先手が穴熊模様に駒を進めた為、後手も(三間と四間の違いはあるが)藤井システムで対抗。その後、中飛車に振り直した後手が、△5四歩と仕掛け戦いが始まった。中盤、先手の屋敷九段が△5六銀を▲同金と取ったことから先手陣はバラバラになり、後手の主張が通ったようにも見える局面が下図。そして今、急所の△7五歩を突いたところ。▲同歩ならもちろん△7六歩。そこでどうするか?先手屋敷九段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問569-2)
上図からバラバラだった先手の陣形をまとめ、局面は難しくなっている。今、▲6三銀と待望の反撃を開始したところ。それを後手から見てどう考えるか。攻める手受ける手いろいろ見える。後手佐藤六段の指した一手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問569-1解答)「駒を埋めて補強」
▲6六金と金で守ろうとすると今度は▲5五歩が守れなくなってしまうし、▲6七銀は玉の守りから離れて薄い。ここは、ちょっともったいないが持ち駒の銀を▲6七銀打と埋めるしかない。しかしこれで簡単には崩れない。

本譜は、攻めの圧力を増すため、△5四歩と飛銀の活用を求めた。対して▲6四歩とし▲6三銀を見せると難解な中盤から終盤戦へ突入した。


(問569-2解答)「攻めが切れない時は辛抱」
実戦、△4二飛のように飛車を逃げるのはある意味普通の手だ。しかし5筋から突破したいと考えているとつい普通に逃げる手を見逃してしまう。手抜いて攻めたり、大駒を切ったり、▲6三銀を取って攻めが早いならそれらも考える余地はあるが、いずれも暴発、負けを早める。一旦飛車を隠居させても、攻めが切れないなら辛抱しておく方が良いという訳だ。

本譜はやはり▲7五歩から攻めを切らしに行ったが、なかなか切れず、攻め合いに。その攻め合いも、感想戦ではもっと先手に良い手もあったようだが、結果は後手の攻めの方が一手早く、最後は自玉が詰まないのを見越して先手玉に必死をかけ、後手佐藤六段の勝利となった。

なお終盤の後手玉、詰まないのを見越した訳だが、ちょっと修正して詰むようにしてみたので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。

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