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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年1月23日出題)

第582問(2017年1月22日 千田六段-佐々木勇気五段戦)
(問582-1)
先手千田六段、後手佐々木五段で戦形は角換わり。銀は腰掛けず、双方同じような形から先手が自陣角を打ち、一歩を交換する形で戦いが始まった。そして盤面のいたる所で歩がぶつかり合う難解な中盤戦から終盤戦へ。
下図は一直線の攻め合いで迎えた終盤の一局面。△4六角の王手に▲5九玉と逃げたところだが、先手玉に詰みはなく、後手玉は▲4二金の一手詰だ。そこでこれをどのように防ぐかということ。▲4二金や▲5三角を防ぐだけならいろいろな手はあるが、初心者の人にも指してもらいたい最も基本的な受け方とは?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問582-2)
第1問から7手後、今△3七角成と先手玉に迫ったところで、▲同金にはもちろん△5八銀の一手詰。と言って、手抜いても△5八銀で詰みだ。そこでどう受けるか?
実はこの局面、後手玉に詰みがあるのだが、対局中は誰も気づいていなかった(局後の感想戦中に判明)。詰みが分かる場合は当然詰めてしまうのが一番良い訳であるが、ここでは詰みはないものとして実戦で指された受けの一手を問う。もし詰みがなければ、また詰みが分からなければこのように受けるべきという一着。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問582-1解答)「玉の逃げ道を確保」
受けの基本として、打たれそうなところ(ここでは▲4二)に駒を打ったり、そこに利きを足すということは良くある。ただこの局面は、初心者の人でもひと目△3二金と寄る手を指して欲しい。それほど基本であり、この場合は絶対と言って良い一手だからだ。このように指すことで、△2二玉から追われた場合さらに1筋で頑張る手も見えて、簡単には寄らない。

本譜はこの後、▲5五歩と銀を取り、△5七桂成に▲6六銀で後手が攻め切れるかどうかという際どい勝負になった。

(問582-2解答)「王手で自陣に利かす手段」
もし後手玉に王手がまったく利かないような場合、後手からの攻めを凌ぎ切れないかもしれない。しかし、ここでは▲7五角という王手があり、これが▲5七へ利かす攻防となっている。後手は△6四歩と手筋の中合いをしたが、それでも▲5七銀から精算し、先手玉は小康を得た。

本譜はこの後、馬を逃げるよりなくなり、▲5七の角を▲2四角と切り、最後は後手玉を即詰みに討ち取り先手千田六段の勝利となった。

なお実戦中逃したという詰みは、第2問の問題図をそのまま「今日の実戦の詰み」として載せたのでそちらをご覧下さい。そこには、少し持ち駒と盤面を変えて姉妹作も出題しているので二問あります。
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