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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年5月1日出題)

第596問(2017年4月30日 宮本五段-藤井猛九段戦)
(問596-1)
先手宮本五段、後手藤井九段で戦形は相三間飛車。途中、早い段階で藤井九段が角を交換し、△3六歩と拠点を作ったのが大きな分かれ目でそこから苦心の駒組みが続いた。
そして下図、その歩の拠点を消す為、▲3七歩と合わせ、△同歩成▲同銀に、△5三角から△3三桂と跳ねたところ。すぐに先手陣がつぶされる訳でもなく、何を指すべきか難しいが、△2五桂▲2六銀に△2四歩と取れない桂を跳ねられるのはちょっと先手としても嫌な感じだ。そこでどうするか?先手宮本五段の指した次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問596-2)
先手優勢の中盤から後手も食らいつき難しくなったかと思われた。しかし下図、今△5五馬と引いた手は龍取りで幸便に見えるが、局後藤井九段の悔やんだ手でここから先手優勢になっていく。△5五馬自体は疑問手だが、とがめなければ好手に変わる。ここで指された先手の次の一手は何か?△5五馬を疑問手にさせる手筋は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問596-1解答)「一手前に受ける」
ここで▲2六銀と上がった手が、「一手前に受ける」と言われるプロ的な一着。実際には攻められてから受けることも多いが、攻めの筋が一つしかないのであれば、前もって受けておいた方が確実だ。それにここでもそうだったが、一手前に受けることにより、一手先着して反撃に出ることも出来る。

本譜△2四歩に▲1五歩と攻め(△同歩なら▲1四歩から▲2三角)、先手が好調に反撃、有利な展開のまま終盤戦へ突入した。

(問596-2解答)「利き筋を限定する焦点の歩」
単に龍を逃げるのは、大きな利かされで、△4六桂を打たれるともうどちらが良いのか分からない。ここは、▲4四歩が絶好の手筋の一着。馬で取れば、龍を逃げた後▲5六桂が残り、銀で取れば龍取りが消える。もちろんすぐに銀を取ると龍を抜かれてしまうが、いつでも銀を取れる手を残したおけたことが大きい。

本譜は、△4六桂の攻め合いに、▲同飛と切った手が▲4四歩に呼応する強手。△同馬に▲8三歩成から後手玉に襲いかかり、一気に勝負を決め、先手宮本五段の勝利となった。なお、△5五馬では単に△4六桂と打っておけば、と言うのが感想戦に出た手で、実際そう打っていればどちらが勝ったか分からない終盤戦が続いていたと思われる。
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