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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年6月26日出題)

第604問(2017年6月25日 高見五段-糸谷八段戦)
(問604-1)
先手高見五段、後手糸谷八段で戦型は相居飛車。矢倉と相掛かりが混ざったような出だしから、双方が銀を五段目へ繰り出し、後手は銀を交換しさばいた。しかし、その直後、先手も▲7三歩と巧妙な歩の垂らしを放つと難解な中盤戦へと移っていった。
下図は、今▲7四角と打ったところ。次の単純な狙いは▲6三角成だが、▲8三銀の筋もありへたに受けると一気に攻めつぶされる可能性もある。ここで指された後手糸谷八段の指した一手は何か?これしかない受けなのだが、先手からの攻めを丁寧に読む必要がある。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問604-2)
一時は先手が攻勢を取っていたが、後手のもたれかかるような指し方に形勢は混沌、下図は互角の形勢まで戻されている。そして今△4四角と△6二にいた角を出して来たところ。▲8八の金取りなのでこれは受けるしかない。一旦は▲3四香と詰めろを掛けておいた方が良いのか難しいところだが、いずれにしてもこのまま金はやれない。そこでどう受けるか。先手高見五段の指した一手は?また、ここではその手とは別にいわゆる受け方の手筋もある。感想戦でも出たその手の方が良かった可能性もあるその受け方とは?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問604-1解答)「相手の攻めを丁寧に読んで受ける」
まず▲6三に成られてはいけないので、この地点に利きを足すことを考える。そこで普通は△5二金だが、そうすると▲8三銀△6二飛に▲7二歩成で飛車が詰み、あっという間に後手敗勢。そこで▲8三銀からの攻めも考え今度は△5二玉と上がって受けることも考えるが(これは感想戦で出た)、△5二玉には▲4一銀がありやはり受けになっていない。本譜△5二銀はこれしかない受けだが、このように相手の攻めを丁寧に読み、正しい受けを考える必要がある。


(問604-2解答)「大駒は近づけて受けよ」
ここで実戦は単に▲7七金と上がって受けた。将来金を▲6六に上がって使おうとした手で、この手が悪いという訳ではないのだが、このような角の攻めに対し、普通は▲6六歩と「大駒は近づけて受ける」のが手筋となる。△同角なら▲7七金と先手で受けられるのが呼び込んでおいた効果。

本譜は△8八歩から桂香を拾う手を見せ、また先手の龍や飛車をいじめながら徐々に後手が良くなっていった。そして終盤の攻めでは、小駒を効果的に使い、先手玉を押しつぶすように寄せ、後手糸谷八段の勝利となった。
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