第609問(2017年7月30日 木村八段-川上六段戦) |
(問609-1) 先手木村八段、後手川上六段で角換わりの出だしから、手将棋の相居飛車戦となった。その後、角交換が行われ先後共に銀冠に組み、どこから戦端を開くか難しい中盤戦は続いたが、後手が戦端を開こうとした瞬間を捉えて、先手が後手陣へ角を打ち込み戦いが始まった。 下図は角と銀桂の二枚換えが行われた後の局面。▲7四に歩が垂れていて、次に▲7三銀と打ち込まれてはたまらない。そこでどうするか?後手川上六段の指した次の一手は何か? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問609-2) 形勢は少し先手が良いと思われたが後手も離されずついていき、先手陣もちょっと嫌な形になっている。今△9六歩と垂らしたところで、次に△9七歩成から△8五桂がある。ただその手自体が厳しいという訳でもないので、ここでは全体を見て玉の安全を考えたい。このような局面で何を受けるべきか、先手木村八段の指した次の一手は? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問609-1解答)「大駒は遠くへ逃げる」 ここで△5一角とじっと引いたのが落ち着いた一着だった。大駒は成っていれば相手玉の近くにいた方が威力はあるが、生のまま自陣にいる場合は近すぎると攻められやすい。そこで△5一まで引いて、角に当たられる手を避けると同時に飛車先も通したのが実戦だった。 本譜はこの後、それでも▲7三銀と打ち込み、後手は飛角を押さえ込まれ苦しい展開は続いたが、その後先手玉に肉薄し、第2問へと続いていく。 |
(問609-2解答)「飛車を押さえ込む垂らしの歩」 ここで▲8三歩と垂らしたのが実戦。人間ならまずこう指したいという第一感の手で、直接の▲8二歩や△8五桂を消す為だけの▲8六歩とは指しづらい。但し、ソフト(激指定跡道場4)によると、最善は▲8六銀で先手良し。▲8三歩はややぬるく、本譜のように△9七歩成から△8五桂と打たれ、少し形勢が詰まると見ていた。 本譜は差は詰まったものの、先手玉を寄せるには駒が足りなかった。先手陣に猛攻をかけたが、丁寧に受けられると、最後は入玉が止まらなくなり、先手木村八段の勝利となった。 |
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