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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年8月21日出題)

第612問(2017年8月20日 中村修九段-行方八段戦)
(問612-1)
先手中村九段、後手行方八段で戦型は相居飛車。先手が雁木に組むと、後手は左美濃の形から右四間に振って戦闘準備を整えた。そして△6五歩と戦端を開くと、後手の攻め、先手の受けと棋風通りの進行となった。ただ、仕掛けはやや軽すぎるようにも見える。下図はその途中、香を捨て、今△9八銀と打ち込んだところ。もちろん△8七銀成とタダで金を取られてはいけない。また正確に読んで受けないと一気に攻めつぶされる恐れもある。ここで指された先手の次の一手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問612-2)
後手の攻めがつながるか、先手が受けきれるかという戦いが続いている。今、△6六歩と叩き、▲同銀に△5六歩と突き出したところ。▲6六の銀取りになっているが、やはりここでも丁寧に相手の攻めを読んで受けなければいけない。
先手中村九段の指した次の一手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問612-1解答)「相手の手に乗り、玉は上部に」
ここでは▲7八玉が第一感。(玉を上がらずに)▲8六金と逃げられれば良いが、△8七歩と打たれ、▲6六角には△同飛から△8八角がありまずい。また、▲7八銀打と投入するのは、これが銀なので、△8七銀成▲同銀に△8六歩と叩かれてしまう。
そこで本譜、▲7八玉が力強い一着。△8七銀成には▲同玉で、金と歩一枚ではなかなか先手玉は捕まえられないだろうという読み。

本譜は8〜9筋を動かさないまま、後手は△5四歩と角をさばきに出たが、▲5九香としっかり受け止め、第2問へと続いていく。


(問612-2解答)「飛車頭の連打で利きを止める」
相手が角道を通して来たので、角道を止める手がまず見える。しかし▲5五歩としてしまうと、△6五歩と打たれ銀が死んでしまう。そこで▲5二歩と飛車の筋を止めようとしたのが実戦。叩かずに▲6五歩と単に打っておくのも考えられるところだが、歩がたくさんあるので、叩いて先手で止めた方が良いと判断したのだろう。実戦は、この▲6二歩に△同角と角で取った為、▲4五桂と跳ねることができ、さらに先手の模様が良くなった。
この後、再び△6二歩と叩く手が生じ、今度は飛車で取り▲6三歩から連打で飛車の利きを止め、先手優勢のまま進んで行った。

本譜は、△5六歩も△8五桂も払い、盤石の態勢で最終盤へ入った。それでも後手も先手玉に嫌みを付け、もう一歩のところまで進めたが、この差を守り切り、最後は後手玉を必死、先手玉への王手を凌ぎ先手中村九段の勝利となった。
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