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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年11月27日出題)

第626問(2017年11月26日 増田四段-郷田九段戦)
(問626-1)
先手増田四段、後手郷田九段で戦型は雁木対矢倉。後手が中央の位を取り、これに反発して戦いが始まった。下図は中盤、(感想戦で)郷田九段が読んでいなかったと言っていた▲7七角の反撃で先手が攻勢を取ろうとしているところ。しかしこの一瞬に後手も反撃。今、△9五角と打って飛車取りにしながら飛車が逃げれば▲8四歩を払う読み。つまり▲7七桂とか▲2九飛では△8四角で先手は歩切れになる。そこでどうするか。飛車の取り合いは自然だがすぐに飛車を取って良いものかどうか。先手増田四段の指した次の一手は何か?三手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問626-2)
後手が巧みに手をつなぎ有利になっている。下図は△6九歩成に▲8八玉と上がったところで、すぐに攻めようとすると▲8六角の王手飛車がある。そこでどうするか。後手郷田九段の指した一手は?有利を保持するための味の良い一着は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問626-1解答)「取り合いでも取られた後を考える」
▲8三歩成と飛車を取るのは自然だが、△5九角成とこの角に成り込まれながら飛車を取られるのは痛い。そこで、▲5五飛と出たのが実戦。△8四角と歩を取るのは▲同角後に王手で飛車を飛び込めるので、後手も△5四歩と受けるが、そこで▲8三歩成と飛車を取る。こうすれば△5五歩と飛車を取るよりなく、角を成らせずに済むという訳だ。

本譜はこの後、後手の攻め、先手の受けが続いた。難解で、いくつかポイントになる分岐点があったようだが、やや後手が有利のまま第2問へ続いていく。


(問626-2解答)「味の良い玉の入城」
▲8六角の王手飛車だけを防ぐなら△1九飛成と香を取っておくのも自然だ。しかし一段目に飛車で王手されると結局△2二玉の一手は必要になる。という訳で、単に△2二玉と入城したのが実戦で味の良い早逃げでもある。こうしておけば後は攻めに専念できるという訳だ。

本譜は実際この後、後手の猛攻が始まった。寄せの見本のような銀の押さえから、飛車を切り、下段に玉を落とすと、最後は先手玉に必死をかけ、後手郷田九段の勝利となった。

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