第635問(2018年2月4日 三浦九段-豊島八段戦) |
(問635-1) 先手三浦九段、後手豊島八段で、戦型は角換わり腰掛け銀。但し双方研究家らしい駒組みで、一手一手工夫を凝らした序盤から結局最近良く見る相腰掛け銀へと進んだ。そして後手の△6五歩の仕掛けに、先手も▲3五歩と仕掛け戦いが始まった。その後は、先手の攻め、後手の受けが続くことに。下図はその仕掛け直後の中盤。▲4五桂に△4二銀と引き、2筋の歩を切り、△2三歩に▲3四飛と回ったところ。ここでの先手の攻めは様々な手段があり、すぐにそれだけを受けるという訳ではない。しかし、何もしないと好きなことをやられる。そこでこうした局面で指すべき常用の筋がある。後手豊島八段の指した次の一手とは? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問635-2) 先手からの猛攻に、後手もギリギリで受け難解な中盤から終盤戦が繰り広げられている。下図はその終盤。△8八歩に手抜きで▲4四銀と出、今△8九歩成と王手をされたところ。王手なので応手は三つしかない。と言っても▲6九玉はあまり考えないので二択。ここではどちらが良いか?と言うより、どちらが勝ちやすいと考えられるかということで問題にしてみた。三浦九段の選んだ一着と感想戦で話された内容は? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問635-1解答)「要の攻め駒を攻める受け」 ここでは△4四歩と桂取りに突き出すのがほぼ絶対の一手。つまりこの桂を取れない状況にしていたのでは、先手も攻めを焦る必要はなく、少し緩めて攻める事が出来る。△4四歩と桂取りにしておけば、先手もゆっくりした攻めは出来ない。このように相手の攻め駒に働きかけ、攻めをせかすのも受け方の一つ。 △4五歩と桂を取られては不利になってしまう為、ここから先手の猛攻が始まった。▲1二歩〜▲2二歩と叩き、▲1一角が入っては先手の攻めが決まったかにも思えたが、後手も強靱に抵抗。難解な終盤戦へと突入した。 |
(問635-2解答)「攻め駒を払うか上部へ逃げるか」 ここで三浦九段は▲8九同玉とと金を払ったが、局後の感想戦では▲6八玉と上がるべきだったか?と悔やんでいた。また、対局中の解説でも深浦九段が▲同玉と払った瞬間驚いたようだが、やはり▲6八玉と上がるのがひと目であり正着に見える。 なお、短い感想戦では、同玉が敗着っぽく話していたが、激指で検討させるとどちらもほとんど互角で結論は出せなかった(▲8九同玉でやや先手持ち77点、▲6八玉はやや後手持ち-194点)。このくらいの点数差では、難解過ぎて正解はまだ出せないと判断せざるを得ないだろう。 但し、人間的に見れば、やはり「玉は下段に落とせ」の格言通り、下段にいる玉は寄りやすいので、▲6八玉と上がった方が勝ちやすいと言えるかもしれない。 本譜はこの後も非常に難解な終盤戦が繰り広げられた。敗着のはっきりしない将棋だったが、最後は質駒の銀を取られ、先手玉は即詰み、後手豊島八段の勝利となった。 |
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