第641問(2018年3月18日 山崎八段-稲葉八段戦) |
(問641-1) 本日はNHK杯決勝戦。先手山崎八段、後手稲葉八段で戦型は横歩取りの出だしだったが、先手の山崎八段が飛車を引き、後手が横歩を取る進行となった。その後、お互い角を打ち合い、先手が後手の飛車をいじめ、先手の攻勢で進んだ中盤戦。しかし、後手も怪しく粘り決勝戦にふさわしいねじり合いが続いた。そこを再び抜け出したのは先手。飛角の総交換が行われると、すきの多い後手陣はまとめようのない形に。下図はその終盤。すでに先手優勢だが、△8九飛と王手されている。ここは正解が一つという訳ではないが、まずこう指したい一着がある。優勢を意識した先手山崎八段の指した次の一手は? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問641-2) 最終盤、先手は詰めろではなく、後手は詰めろ。△7七歩と打てばいわゆる「形作り」だが、アマでも有段者となれば後手玉を詰ますのはそれほど難しくはない。ただ、級位者同士なら、△7七歩と打って相手に委ねる手段も実戦的にはあり得る手と言えよう。しかし、ここで稲葉八段は悪いながらも最善の手段で粘った。ここで指された後手の手は何か?三手まで。 |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問641-1解答)「持ち駒を投入してはじく」 ▲7九金と引くのは危険としても、▲5八玉と逃げておくのもない手ではない。しかし、ここは▲7九金打とまず打って先手を取りたい。と言うのも、先手は▲4一角や▲8二飛成など両取りで駒を取る手が残っていて、持ち駒の金を手放しても問題ないからだ。そして、こう投入しておくことで、本譜もそうなったように、明らかに一手後手の攻めを余すことが出来る。 なお、激指によると、▲5八玉でも▲7九金でも▲7九金打でもいずれも大差なく1000点前後先手優勢との評価だが、人間的には実戦の金打ちが一番安全と言えるだろう。 本譜は、仕方ない△9九飛成に▲4一角から▲3二角成となって先手優勢、このまま先手山崎八段の優勝が近づきあと一歩なって第2問へ続いている。 |
(問641-2解答)「駒損をしない最善の粘り」 ここでの次の三手は、△5二金▲8二飛成に△7三角だ。まず△5二金と受け、▲4二馬からの詰めろを消し、▲8二飛成には△7三角と打って、△8四の銀も助けた。確かに、もしここで龍が逃げてしまうとこの受けが功を奏し△7七歩が入り、逆転の可能性も出てくる。悪い時の粘り方として参考になる手順だ。 但し本譜はさすがにここで決めに行った。▲5二龍と切り、△同玉に平凡な▲7二飛の王手が厳しく先手勝勢。 この将棋、中盤後手の飛車をいじめ先手有利に進んだものの、途中では逆転模様にまでなり、(感想戦で)泣きそうになっていたと言っていた先手だったが、そこから態勢を立て直し先手山崎八段の勝利、第67回NHK杯優勝を飾った。 なお、最後、△5二金と受けなかった時の局面を元に、余詰めを消しつつ難しく修正したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。 |
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