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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年7月9日出題)

第656問(2018年7月8日 佐藤康光九段-塚田九段戦)
(問656-1)
先手佐藤九段、後手塚田九段で戦型は先手の角交換向かい飛車。先手が▲6六銀と出て、7筋を切った後、今度は5筋も切ろうとしてこれに反発、戦いが始まった。その後、先手が馬を作った手に後手は端から反撃、これにさらに逆襲して下図となっている。今、▲1四歩と垂らしたところで、部分的には▲6二香から銀を取る手が残っている。と言って、すぐに先手も決行する訳でもない。ここで実戦はすなおに△5二銀と引いて受けたが、幸便に▲5九飛と回られ主導権を握られた。ここでは感想戦で話された受けの強手がある。実戦の一手ではないが、やや模様が悪いと思える所で混戦に導く次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問656-2)
先手がじりじり差を広げ、さらに終盤香捨てから一気に決めに出た。下図の後手玉は受けが利かない。対して後手からの最後の王手が続いている。△2七で精算した後、今△2六歩と玉頭を叩かれたところ。王手なので取るか逃げるかしかないが、ここではどうするのが最も安全か。詰まない手は一つだけという訳ではないものの、上級者ならほぼ絶対この場所という応手になる。ここで指された先手佐藤九段の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問656-1解答)「玉のさばき方」
ここで△2三玉と上がって▲1四歩を疑問手にさせようというのが模様の悪い時の勝負手。実戦で指された△5二銀は素直な一着だが、▲1四歩がいつまで経っても後手玉をけん制し脅威になっている。玉が前線に出るのは危険でもあるのだが、悪い時はこのように戦線拡大するのも勝負形にする呼吸と言える。

本譜は△5二銀と引き、▲5九飛と使われ、さらに▲7四馬と馬も使われると徐々に差は開いていった。そして▲1六香から一気に決めに出て、その結果が第2問になっている。


(問656-2解答)「玉の安全地帯と読み」
▲2六同玉と取るのは最悪で、△2五香で詰んでしまう。▲2八、▲3七、▲3八玉とどこでも詰みはないが、▲3八玉と引くのがもっとも安全。△1六角には▲4八玉で左辺が広い。どの地点が安全かと言うのは終盤の読みの力でもあるが、多くの実戦を経験することで、どのような場所が危険かと言うことも分かるようになってくる。

本譜は△4五桂と先手玉に迫りながら、後手玉のやさしい詰めろを消したが、▲2一飛〜▲5一飛成〜▲4三馬から一気に長手数の詰みに討ち取り先手佐藤九段の勝利となった。

なお最後上図の局面、▲2六同玉と取っても▲4七銀を▲5六銀と動かしておくことで、ちょっと難しい詰みになっているので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。

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