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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年5月20日出題)

第699問(2019年5月19日 福崎九段-都成五段戦)
(問699-1)
先手福崎九段、後手都成五段で戦型は手将棋模様の相居飛車。出だしから少しずつ時間をかけ駒組みは続き、先手は居玉、後手は△3二まで進めたものの戦場に近づいているとも言え難しい。下図はその中盤。▲4六銀と攻めを見た手に後手が△6五歩と仕掛け、これに▲5七角と上がったところ。何かをすぐに受けるという訳ではないが、このまま▲6五歩と取られては一歩損で得るものがない。ここで後手の指した次の一手は?ここでの手筋の一着は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問699-2)
中盤の折衝で先手がポイントを上げ優勢に立った。そしてその後も緩みなく、▲3二飛成で後手はほとんど必死。これに対し、今△5七桂成と銀を取りながら桂が成ったところ。王手なので玉で応対するしかない。この後の手も読み、ここはどのようにすれば勝つやすいかを考える。ここで指された先手福崎九段の指した次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問699-1解答)「飛車取りを未然に防ぎ、横利きを通す」
ここでの▲7五歩が有段者ならひと目とも言える筋中の筋。▲同歩と取らせれば、▲6六に角が来た時、飛車取りにならず、また遠く△3四に利いてくるという訳。相手に一歩を渡すのは、局面によってはマイナスになることも多いのだが、このような局面では、一歩損より飛車の活用の方が大きいということ(攻めの手として後々△7七歩なども利く)。

本譜は、それでも▲5五歩と角道を止め、難解な中盤戦は続いた。そして攻め合いを目指した先手の▲3五歩からの後手の応手におかしな所があったのか、形勢は先手に傾き終盤戦へ突入。さらに優勢となり、あと少しで勝ちの局面が第2問である。

(問699-2解答)「最終盤の考え方」
序盤や中盤はもちろん、終盤に入っても取られた駒を取り返せないのではおかしい。ここでも普通は成桂を取り、銀桂交換になるところだ。しかし最終盤、詰むや詰まざるやの局面になるとこうした常識が通用しなくなることもある。つまり、▲5七同玉と成桂を取ると、一旦△5四飛で王手をされながら5二の地点を受けられ、それから△3二金と龍を取られてしまうからだ。もちろんそれでも先手優勢は変わらないのだろうが「勝ち」直前から「優勢」に引き戻されるとまだこの先何があるか分からない。ここは後手玉に適当な受けがないことを見越して、▲7九玉と引くのが手堅い勝ち方。

本譜は中盤での後手の指し方に疑問があり先手が有利になったと思われる。しかしその後も緩めず最後まで切れ味鋭い寄せを見せ、後手玉をきれいな即詰みに討ち取り先手福崎九段の勝利となった。
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