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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年7月22日出題)

第707問(2019年7月21日 高崎六段-里見女流四冠戦)
(問707-1)
先手高崎六段、後手里見女流四冠で戦型は相振り飛車。先手のいきなりの▲7八飛に後手は△5四歩から左銀を△5三まで持ってきてから角道を開けた。結果、角交換となり、双方共に向かい飛車での駒組みとなった。仕掛けは先手から。▲7五銀と出た形からいきなり端の香を捨てる強襲。下図はその直後の局面。今、▲6五角と打ったところで、次に▲9二角成がある。この香取りが受けづらく、先手の攻めが続きそうにも見えるが、後手はここを際どく凌いだ。後手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問707-2)
本局は、先手の攻め、後手の受けが延々と続いた。下図はその終盤。先手からの攻めを凌ぎきった感はあるが、何もしないで次に▲8三成桂と取られるとあっという間に混戦になる。そこでどうしたら良いか?△7七歩成と成っても後手が良さそうだが、やはり▲8三成桂や▲8四香からの攻めは気になる。後手里見女流四冠の指した優勢を確定させる手厚い一着は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問707-1解答)「一時的な駒損でも殺到されないように受ける」
ここで△7四角と銀頭に角を受けたのが実戦。すぐ銀に取られてしまうところなので考えづらいが、これがしっかりした受けの好手だった。一般的に攻め方は駒損し、受ける方は駒得をする。それで互角になるのが将棋なので、たとえば駒得しならが攻める攻めなら必勝となり、受けているだけでも駒得が大きければやはり優勢。なので、△7四角のように受けているのに銀との交換で駒損するのでは普通は辛いという訳だが、この局面はすぐに△9五歩と香を取ることが出来、銀香と角の交換になるのが見えている。さらに先手が歩切れということも大きく、△7四角と打って受けきれると読む読みはすごいの一言。

それでも本譜は、先手が細い攻めを切れないように攻め続けた。少しでも間違えるとたちどころに逆転する局面を丁寧に受け続け、後手優勢となり第2問に続いている。

(問707-2解答)「急所を押さえる銀」
受ける側から見ると、急所がどこかを見極める力が必要になる。ここでは△7七歩成と飛車取りにと金を作っても優勢だろうが、▲8三成桂からの殺到をさらに丁寧に受けることになる。そしてその時、常に▲8四香と走る手が勝負手になりそうということが分かれば、△7五銀打とここを守っておくのが手厚い一着だ。これで先手から手が出なくなり、後手の勝ちまでもう少しとなった。

本譜はそれでも一歩さえあれば▲9二歩が打てるので、▲6六歩から▲5八の金まで動員して何とか勝負形に持ち込もうとしたが、この後も丁寧に受けると一転反撃。後手の玉が寄らない形になっていた為、先手が投了し後手里見女流四冠の勝利となった。
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