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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年11月18日出題)

第724問(2019年11月17日 森内九段-木村王位戦)
(問724-1)
先手森内九段、後手木村王位で戦型は横歩取り△3三角戦法青野流。お互い角道を通したまま飛車交換が行われ、後手がその飛車を狭い△2八へ打ち下ろし、序盤から一気に激しい終盤戦へ突入した。下図は▲2七歩といういわゆる良くある手筋(次に▲3九金で飛車の捕獲)に対し、△2六歩と合わせたところ。ここで先手はどうするか?先手森内九段の指した次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問724-2)
上図から見応えのある攻防が繰り広げられた。しかし、(感想戦によると)先手が応手を誤ったらしく、下図は後手優勢。今、▲4一銀△同玉に▲6二角成と詰めろをかけられた所だが、この詰めろは容易にほどける。どのように受けても後手の優勢は変わらなそうだが、それでもより逆転しづらい受けというのはある。ここで指された後手の次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問724-1解答)「盤面を広く見た受け方」
手の流れから▲3九金しかないように見え、△2七歩成▲2八金△同とと進むのではと思っていたが、これでは先手苦しい。ここで実戦は▲8六飛。これが盤面を広く見た受けの好手。▲8二飛成と王手で取られてはたまらないので、この銀は守るしかないが、▲2六飛と歩を払った手がまた▲2一飛成を見ていて味が良い。

本譜は△7一金と歩を使わずに受け、▲2六飛に△2二歩と低く受けた手が工夫の一着。先手の▲3九金に飛車を切り、△3六歩と反撃して難解な終盤戦となった。そしてどちらが良いのか分からないような戦いが続いたが、先手が応手を間違え後手優勢になり第2問になっている。

(問724-2解答)「逃げ道の開け方」
▲5二銀〜▲5一馬(角)を防ぐだけなら、△5一銀と打ったり、△4二銀でも大丈夫だが、持ち駒を使わないで済むならその方が良いし、△2二歩のようにここが詰まっている場合には、△4二銀はちょっと怖い(飛車や金を渡せないので)。そこで実戦△4二金と寄って△3二へ上がる形を作るのがもっとも安全な受け方。もちろん金には▲5一銀とかけるのが手筋で、その後も読みを入れる必要はあるが、初心者でもひと目△4二金と寄れるような感覚は身に付けたい。

本譜は、攻めるなら▲5一銀とかけるしかないが、これが詰めろでないと読み切った後手が△7五銀と必死をかけ、以下▲4二銀成から王手をかけつづけたが詰まず、後手木村王位の勝利となった。
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