将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2020年3月30日出題)

第743問(2020年3月29日 西山女流三冠-里見女流四冠戦)
(問743-1)
今回は、来期のNHK杯に出る為の女流枠の一戦。先手西山女流三冠、後手里見女流四冠で戦型は相振り飛車。先手の三間飛車金無双に対し、後手は向かい飛車から雁木模様に金銀を繰り出す工夫の駒組みを進めた。そのため、作戦的には後手十分な形に。しかしそこから差を広げられないように勝負手を繰り出し、下図はまだ後手持ちだが形勢はだいぶ接近している。今打った▲2四金も鍛えの入った一着で、▲3四金を見せて後手をせかしている。ここで指された後手の次の三手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問743-2)
終盤、後手の攻めのポイントが僅かにずれ形勢は分からなくなった。下図△3五桂も急ぎ過ぎでここでは先手にチャンスが来ている。ここから形勢は先手に傾くが、疑問手もとがめないと好手になるのが将棋。ここで指された先手の次の一手は何か?△3五桂を悪手にするための先手の応手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問743-1解答)「敵駒の動きを押さえる攻防手」
△5六桂と銀を取り、▲同歩に△4五銀と打ったのが実戦。この△4五銀が角取りであると同時に▲3四金も防いでいる味の良い一着。もちろん角を取られ金まで取られては終わってしまうので、▲3六桂とこちらも金にヒモを付けながら角取りに桂を打ったが、先に角を取って、ここではまだ後手が攻勢を取っている。

しかしこの直後の△1五歩がややぬるかったか(感想戦で)、形勢は急接近した。そしてついに形勢が逆転する第2問へと続くことになった。

(問743-2解答)「終盤は駒の損得より速度」
▲3六銀のような「桂先の銀定跡なり」も良く出る手筋ではあるが、銀を使ってしまうとせっかくのチャンスを逸する。ここは、実戦▲3五金と桂を取ってしまうのが分かりやすい。△同銀の瞬間は、△2七飛成からの強襲には気を付けなければいけないが、手番を握れるので▲8三歩成からの攻めに回れるという訳。

本譜は▲8三歩成△同金に▲6五香が厳しかった。感想戦ではこの香を取り、△2七飛成からの難解なとん死筋の検討もされ、見た目以上に差のない終盤戦だったようだが、最後は後手玉を長手数の詰みに討ち取り、先手西山女流三冠が勝利、次期NHK杯戦への出場を決めた。
先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ