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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年6月22日出題)

第749問(2020年6月21日 三浦九段-杉本八段戦)
(問749-1)
先手三浦九段、後手杉本八段で戦型は居飛車対向かい飛車。居飛車穴熊を匂わせる駒組みに、後手は△3二金から△2四歩と急戦を仕掛けて戦いが始まった。その後、銀桂交換の駒損ながらと金を作った後手のやや指しやすい局面に。しかし、先手も崩れず5筋にと金を作り後手にプレッシャーをかける。下図は今△8四桂といわゆる控えの桂を据えたところ。持ち駒に銀があれば▲8五銀と打てるが、ピッタリとした受けがないようにも見える。ここで指された先手の次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問749-2)
終盤に入っても後手有利に進んでいるものの追走され難解な局面は続いている。下図は、▲6一成銀△同銀と進んだところで、部分的に▲5一飛は厳しい攻め。しかし、△8五馬はそれ以上に厳しくまずはここを受ける必要がある。そこでどうするか。ここから先手は受けの手を指し、後手も一手受けの手を指している。早指しにおけるプロの攻防と言った感じの応手で見応え十分。善悪を別にしても「なるほど」と思わせる次の二手は何か。△8五馬と▲5一飛を効率よく受けるには?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問749-1解答)「玉のふところを広げる受け方」
銀を持っているなら▲8五銀が一番しっかりしている。しかし持ち駒に銀がないと、ここで△7六桂を受けるには▲6五銀しかない(▲8六飛などは論外として)。しかし▲6五銀は頼りない受けで△6四歩が気になる。そこで、△7六桂と跳ねられるのを受けるのではなく、跳ねられた時に▲8七玉と上がれるように、▲8六歩と突いたのが実戦。振り飛車の美濃囲いなどでも時々出てくる玉のふところを広げる受けの手筋だ。さらに局面によっては▲8五歩と催促する手も見ており、後手を焦らせている手でもある。

本譜は、△4四角から角を活用。その間に先手も桂を取り、さらに▲6二とから▲5四桂と後手陣に肉薄。見応えのある攻防の第2問へと続いていく。

(問749-2解答)「一手前に受けるプロの受け」
問題図での次の二手は▲7六金と△4一金。△8五馬と出られてから▲7六金や▲8六金と受けても逃げてくれない(歩がないので、常に△8四香が厳しい)。そこで出られる前にじっと▲7六金と受けたのが実戦。これに今度▲5一飛と打たれては厳しいので△4一金と寄って受けたのがなるほどの一着だ。△6一銀にヒモを付ける△7二銀打や△7一金なども受けとしては立派な手だが遊び駒が受けとして役に立つならその方が効率が良いことになる。

本譜は▲7五歩を打ちたい為に▲4二桂成と桂を捨てたが、これでは辛いのかもしれない。(▲7五歩△6四馬に)▲5五銀と馬に当てて出た瞬間に△6五銀の反撃。後手玉がほぼ「ゼ」だった為、駒を捨てて先手玉に襲いかかると最後は即詰みに討ち取り、後手杉本八段の勝利となった。
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