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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年7月27日出題)

第756問(2020年7月26日 佐々木大地五段-佐藤秀司七段戦)
(問756-1)
先手佐々木五段、後手佐藤七段で戦型は一手損角換わり。先後ともに早めに銀を進出させ、先手は早繰り銀、後手は腰掛け銀に構えた。そして、後手工夫の△6五歩に数手後▲3五歩と仕掛け最初の戦いが始まる。その後、部分的には定跡の▲3六歩という控えの歩に当たりを避けて△4三銀と引き、それでも▲3五銀と出た局面が下図。当然次は▲2四歩からの銀交換で、飛車先も切れればやや先手がポイントを上げた形となる。そこで後手はこの銀をさばかせない方法を取った。これも部分的には良くある筋なので、銀をさばかせない、と言えばこれしかない手段。後手の指した次の一手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問756-2)
上図から駒組みに戻ったが、右銀を▲2六に引き、さらに形にこだわらず▲6八の金を▲5七に上がった構想が秀逸で先手作戦勝ちになった。その後、桂交換で桂を手持ちにした先手が玉頭から攻めると一気に有利へと形勢が傾く。下図はその終盤で先手勝勢。今△5六歩と歩を取り込まれたところで、ここでどう指すか?本来は問題に出すような所ではないかもしれないが、初心者の人もいると思うので、あえて問題にしてみた。ここで指された先手の次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問756-1解答)「棒銀をさばかせない一つの手筋」
ここで△2二銀と引いたのが実戦で、これは棒銀をさばかせない一つの手筋。但し、後手の銀も壁銀になるので、これで後手良しという訳ではなく、形勢は互角でこれからの指し方次第。なお、この一手は攻めに使うことも出来るので、▲2四歩からの銀交換、一歩交換の代わりに有効な手があれば引いて受けることもない。初心者の人にとっては有名な手筋の一つとして記憶しておいてもらいたいと思う。

本譜は、この後駒組みに戻ったが、先手が局面をリードした。有利から優勢、勝勢となり、勝ちまであと少しとなったのが第2問である。

(問756-2解答)「玉の側の金をタダで取らせない」
ここで▲5八金引と引いたのが実戦で、ある意味当然の一着。ただ、将棋センターで初段くらいの人たちの将棋を見ていると、先手だからとノータイムで▲3二桂成と金を取ったり、金取りを放置して攻める人もいる。もちろんここはかなり差があるので、▲3二桂成でも▲5二桂成でも先手有利は動かないが、急所の駒が当たりになっているところでは、何もせず(相手に駒を渡さずに)じっと逃げておく方が普通は良い。ここでも単に逃げておくのが最も逆転されにくい一着と言える。

本譜は、△8六歩に(今度は次の手が厳しくないので)手抜いて▲5二桂成、さらに△7六桂には丁寧に▲7七銀と上がり、その局面で後手が投了、先手佐々木五段の勝利となった。
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