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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年8月3日出題)

第759問(2020年8月2日 藤井聡太棋聖-塚田九段戦)
(問759-1)
先手藤井棋聖、後手塚田九段で戦型は相矢倉。最近の将棋らしく急戦、持久戦両方をうかがいながらの駒組みだったが、結局ガップリ四つの相矢倉となり、双方が3筋(7筋)の歩を切り、角のにらみ合う形となった。そして角交換後、先手が敵陣深く角を打ち込み、後手がこれを捕まえに行き終盤戦に突入。下図は角銀交換ながら後手玉は不安定で互角の勝負。今▲3六銀と立って▲2四歩や▲4五歩を見たところ。ここで後手の指した次の一手は?この局面は是非こう指しておきたいという基本の一着がある。ここで指された次の一手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問759-2)
上図から後手も攻めに回ると先手の矢倉も崩れ盤面全体を見なければいけない難解な局面へと進んだ。下図は△9七桂成と香を取られ▲同玉に今△6九角と打ち込まれたところ。要の金に狙いを付けながら銀取りでもある。ここは何をどう受けたら良いか?ここで指された先手の次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問759-1解答)「玉の早逃げ八手の得」
ここは△3二玉がひと目でこう指したいところ。△2三玉の位置は危険で、この局面では上部へも行けない。このような時はその場所で頑張るのではなく、かわして相手の攻め駒から遠ざかるのが良い。この後▲2四歩には当然△2二歩と受けて簡単には寄らない。

本譜は、▲7二歩から味を付けたが、この手に乗じて桂を跳ねると先手玉に襲いかかった。そして全面的な戦いとなり、応手の難しい終盤戦が第2問である。

(問759-2解答)「自玉の安全度を正確に読んで駒損しない」
ここで▲4七歩と受けたのがある意味「度胸のある手」だ。▲3六の銀は取られても、(もちろん痛いのは痛いが)玉に直接響く訳ではない。そして△9五香や△7八角成からの殺到がかなり危なそうなので、ついこちらを心配してしまう。しかし、このままでもすぐに寄らないと見て、じっと▲4七歩と受けたのが実戦で、これは正確な読みに裏付けられた受けと言える。しかも、4筋に歩が利かなくなり、単に受けるだけの手なのでこれで良いと思っても相当に指しづらい一着。

本譜は、△7八角成から△8九角と攻めたが、▲8八玉が力強い受けで先手良し。その後は、▲1二角から攻めに回ると、的確な包囲網を築いて後手玉を寄せきり、先手藤井棋聖の勝利となった。
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