将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2020年9月14日出題)

第766問(2020年9月13日 山崎八段-広瀬八段戦)
(問766-1)
先手山崎八段、後手広瀬八段で戦型は相居飛車。先手の山崎八段がいきなり初手▲4八銀から▲7八金と指し、さらに▲4六歩の一歩を取らせる作戦に出た為、力戦調の相居飛車となった。主張は先手の手得対後手の歩得。それでも難しい構想の序盤から中盤へと進み局面は微差に振れながら終盤戦へ突入。下図は今▲7三歩と垂らしたところ。玉に近い垂らしで受けづらく、ここではやや先手が指しやすそうだ。こうしたところでどのように指したら良いか?後手の指した次の一手は何?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問766-2)
上図から後手も辛抱し差はあまり広がらないままねじり合いの終盤戦は続いた。そして下図、今△9四桂と金取りに桂を打ったところ。ここではどのように指すべきか?ソフト(激指)にかけると二つの手は先手優勢のままで、最も自然な一手はその優勢が吹っ飛ぶ一着だった。実戦もその二つの手のうちの一つだが、優勢を維持できるその二つの手とは?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問766-1解答)「不安定だが飛車で受ける形」
金駒がないのでピッタリした受けはないが、実戦△8二飛がこうした場合の辛抱の受け。飛車を追われた時にすぐ歩に成られてしまうので不安定な状態だが、今はまだ何も駒はないのでギリギリ耐えているという訳。そしてさらに▲6四歩にも△6二歩と辛抱して局面は進んで行った。

大きな利かしが入り先手は有利に進めたが、後手も勝負手を放ち盤面全体に及ぶ戦いはどちらが良いか分からないような戦いになった。それでもソフトにかけると先手が凌ぎ切れているという判断が第2問である。

(問766-2解答)「終盤では常識外の手も」
実戦で指された手は▲9六金。自然な▲8七金は△8六歩が激痛ということだが、分かっていても引いてしまいそうだ。問題図の局面、激指に次の一手を聞くと、金を放置して▲6六角と桂を外す手と実戦でも指された▲9六金だけが先手優勢を維持できる手だった。終盤では筋の良い手だけではなく、きちんと先の先まで読む必要もあるということがよく分かる。

本譜はこれに△7五歩から△8六歩と垂らした。しかし△3七のと金が一路遠いので▲2一龍から▲3二歩の攻め合いで一手勝ちを目指すと最後は後手玉を即詰みに討ち取り先手山崎八段の勝利となった。

なお、最後の詰みの局面から余詰を消し、小さなトラップを仕掛けて作成したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ