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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年5月3日出題)

第798問(2021年5月2日 青嶋六段-横山七段戦)
(問798-1)
先手青嶋六段、後手横山七段で戦型は三間飛車対居飛車穴熊。振り飛車側は工夫の駒組みを見せ囲いは美濃ではなく対居飛穴用。しかしその先手の工夫もあまり実らず、戦いが始まった局面はすでに居飛車ペース。その後も、後手攻勢の中、終盤戦へ突入。下図の先手玉は風前の灯火に見える。しかしここで受けの勝負手が放たれ簡単には終わらない。ここで指された先手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問798-2)
上図から後手の攻めを凌ぐと、▲2三歩成から後手陣にも火の手が上がりやがて逆転。下図は馬もいて飛車を持っているが、先手の持ち駒はそれ以上に豊富で何を指しても先手優勢は変わらない。しかし至る所に王手での取り返しが残り、どう攻めるかは悩ましい。ここで指された先手の次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問798-1解答)「玉頭戦の押さえの銀」
受け方の難しい所だが、ここで▲3五銀と馬に当てて打ったのが勝負手。△1七銀や△2五銀からの強襲が見えるだけに相当怖いが、どの攻めもギリギリ。こうした所での勝負的な受けと言える。これに△6八馬と入った瞬間にAIの形勢判断は逆転し先手に傾いた。

本譜は飛車取りに構わず、▲2三歩成から▲2四歩。これで穴熊だった後手玉も見える形になり、さらに形勢は揺れ動き、やがて先手有利から優勢へ。そして後手の攻めを凌ぎ切り、勝ちまであと少しとなったのが第2問である。

(問798-2解答)「最終盤での意外な受け方」
攻めるなら▲3五桂がひと目で急所だが、△5五飛から抜かれる手が見える。また、▲5五角などを決めると、△5六飛が残る。もちろんそれでも先手優勢は変わらないかもしれないが、指していると気になる順だ。そこで、じっと▲5六歩と打ったのが実戦。指されてみればなるほどだが、最終盤に単に歩を打って受ける守りだけの手と言うのはある意味珍しい。しかし、これも△5九飛など他の手も読んだ上での堅実な受け方。

本譜は、△5九飛に▲4八玉と先手を取り、△9九飛成に待望の▲3五桂が入る。後手も△4一香の妙防で応えたが、ここまで来ると再逆転には至らず、先手青嶋六段の勝利となった。
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