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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年5月24日出題)

第801問(2021年5月23日 木村九段-斎藤明日斗四段戦)
(問801-1)
先手木村九段、後手斎藤四段で戦型は相掛かり戦。お互い腰掛け銀の形から、後手が仕掛けて戦いが始まった。その後手の攻めに、木村九段らしい受けで、形勢は揺れ動きながらも先手60%を超えやや有利に。下図はその途中。▲6三歩成△同金▲8三歩△6二飛と飛車を一旦は封じ込めたところ。しかしこのままだと△8九歩成が来るので、早い攻めかしっかりした受けが必要なところ。ここで指された先手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問801-2)
上図から後手の攻めをギリギリで受け止め、先手優勢は続いていた。しかし下図、今△4五金と出たところ。ここからAIの形勢判断は大きくゆれた。この局面、先手優勢80%だったのだが、次の手を指した瞬間、後手有利65%へ。では何を指すべきだったか?実は分からなかったので、局後、私もソフトに聞いてみた。するとここでは意表の一着が!?本譜の指した手は当然の一手に見えるが実は疑問で正解は別にあった、と言うことで今までにないことだが実戦の指し手ではなくここでの正着を問う。ソフトの指摘した次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問801-1解答)「大駒に当ててしっかり受ける」
△6九の銀をタダで取ろうと▲7七金などと寄ると、△6七歩はあるし最低△5八銀成でも駒得は出来ない。ここでは実戦でも指されたように▲7八銀打とこの地点にしっかり銀を投入するのが手厚い受け方。△同銀成▲同銀となれば、依然馬に当たったまま△8九歩成からも逃げており味が良い。

本譜は後手も銀を取った後、馬を逃げず△5九銀の攻め。そしてさらに▲6八金と引いて馬に当てたところで、後手が△4五金と出たのが第2問である。

(問801-2解答)「終盤、意表の妙手」
大駒が取りになっていたら、その当たりをなんとかするのが普通。なので、ここでは本譜▲4五同桂は自然であるし、他には▲7八金と馬を取る手の二択に見える。ところが、▲4五同桂と取った瞬間、先手優勢80%が後手65%に。では▲7八金と馬を取るのかな?と思っていたが、感想戦でも若干触れられ、それもはっきりしない。そして局後、ソフトに聞くと正解は▲7二角!二つの大駒が当たっている局面で、さらに大駒に当てての角打ち。こんな手があるんだ!と大いに驚愕したので、今までにないことだがソフトの手を問題にしたという訳。

本譜は、それでも一度互角に戻ったが、再び後手優勢に。最後は、(評価値がなければ)本当に後手玉詰まないのか?と思うような際どい変化を読み切り後手斎藤四段の勝利となった。
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