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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年6月21日出題)

第805問(2021年6月20日 丸山九段-本田五段戦)
(問805-1)
先手丸山九段、後手本田五段で戦型は角換わり戦。双方▲4八金〜▲2九飛(△8一飛)の形から後手が動いて戦いが始まった。その後、研究手とも思える敵陣への角の打ち込みから難しい終盤戦へ突入。下図は角銀交換ながらじっと△6五銀と先手陣へ圧力をかけたところ。AIの評価値は50%前後を動き互角の評価だが、人間的には受け切るのも大変そうに見える。ここで指された先手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問805-2)
上図から一手一手難しい攻防が繰り広げられ、見た目には先手大変そうに見える局面は長かった。しかし、AIの評価では徐々に先手有利になって行く。そして下図、今△8五飛と出られ、飛車成りは受からないし、玉も近い。評価値がなければまだまだ難局と思えそうだが、この時点で先手の優勢は70%を超えていた。それでも少しでも受けを誤ればたちどころに逆転する局面とも言える。ここで指された先手の次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問805-1解答)「拠点を作らせない受け」
△7六歩と打たれるのは痛いので、そこを受けたのが実戦の▲6八桂。見ている時は受けるしかないと思っていたが、解説では驚きの一着のように伝えられた。やはり終盤で受けるだけの手と言うのは、感覚的には辛い手なのかもしれない。ただ、ここを凌いでおけば角銀交換の駒得であるし、主張点はあるのでそういう場合は受けるだけの手でも良いこともある。

本譜後手は△3六歩で一歩を入手し、△7六歩▲同桂に△8四桂と工夫の攻めを見せた。しかし、△7六歩の拠点は作られても、▲7四桂の反撃が厳しく徐々に先手有利になっていき、第2問へと続いている。

(問805-2解答)「合駒の歩を作る歩成り」
先手陣だけを見れば、ひと目▲5八玉と早逃げしたいところだが、△8八飛成に▲4七玉は△5五桂があり、△3五歩とここにも急所があるので、早逃げの効果がない。そこで▲7三歩成と▲7八に歩の合駒を出来るようにしたのが実戦。指されてみれば「なるほど」だが、入るかどうか微妙なところだけに勇気のいる手だ。

しかし本譜、数手後に▲7八歩と打った局面は、先手陣がしっかりしており、詰めろが容易にはかからなかったらしい。銀頭を叩く▲3四歩に後手は驚きの手抜きで攻めたが、最後は後手玉必死に先手玉詰まずとなり、先手丸山九段の勝利となった。
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