将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2021年11月1日出題)

第824問(2021年10月31日 深浦九段-藤井聡太三冠戦)
(問824-1)
先手深浦九段、後手藤井三冠で戦型は相雁木。珍しい雁木の同形から先手の深浦九段が仕掛けて戦いが始まった。途中、(感想戦では)△8六歩から攻め合いにすべきだったとの話はあるが、実戦は攻めを呼び込み過ぎ先手ペースで進む。下図は後手から見て桂は得していても、今▲2四歩と急所を取り込まれている。ここで指された後手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問824-2)
上図から先手はさらに厳しく攻め込んだ。下図は▲4二桂成と金を取った手に△2八歩と叩いたところ。▲4二の成桂も△5六の銀も取りになっている局面での△2八歩。この手にどう指すべきか。先手の指した次の一手は?ここからの実戦の進行を三手まで。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問824-1解答)「駒得を生かしてしっかり受ける」
こうしたところでの受け方はいくつかある。部分的に右上だけを見るなら、△3一桂の他に△2三歩など。全局で▲2三銀と打ち込まれてもすぐに寄らないのであれば、△2八歩▲同飛に△3七歩成と敵駒を攻める手、先手に一歩もなければ△3四銀と引く手、さらには△4五の銀が浮いてなければ△2五歩と大駒を近づける手なども考慮に入る。実戦は狭くはなっても△3一桂と一枚得した桂を打ってしっかり受けた。

しかし実戦、▲5六銀とぶつけ△同銀にいきなり▲2三銀と打ち込んだ手が強手。桂を入手して▲3四桂と厳しく迫り、先手の攻め、後手の受けが続いているのが第2問である。

(問824-2解答)「取られる瞬間が切り時」
△2八歩に横に逃げれば飛車は取られないが、後手玉も寄らなくなる。ここは▲同飛と取って、△3七歩成に▲2三飛成と切るのがタイミング。大駒を攻められた時、取りになった瞬間に切ることは良くある。ここでも▲2三飛成と金を入手し、△同玉に実戦▲5六歩と銀も取って後手の受け方が難しい。

本譜はそれでも後手は懸命に粘ったが、着実に網を絞ると最後は必死をかけ、先手深浦九段の勝利となった。
先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ