第844問(2022年3月27日 里見女流五冠-加藤清麗戦) |
(問844-1) 本局は来期NHK杯戦への出場女流棋士決定戦。先手里見女流五冠、後手加藤清麗で戦型はゴキゲン中飛車対居飛車穴熊。金銀を集結させた穴熊を背景に飛車交換を挑んだ後手に対し、これを受けて飛車交換後、広さで対抗して好勝負は続いた。下図はその中盤。今△2四歩と桂跳ねを受けた手に対し、先手も▲2八玉と手を渡したところ。左辺はどちらも動きづらく難しい応酬が続いている。ただ受けの手に限って言えばそれほどいろいろな手がある訳ではない。ここで指された後手の次の一手は何か?ここからの実戦の進行を三手まで。 (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問844-2) 終盤に入り、手厚い先手が徐々に良くなって行った。下図の評価値は80%弱先手優勢。と言っても、人間的にはそれほどの差はなく、次に△5五香と打たれる手も見えるだけに攻めるか受けるか迷う所だ。ここで先手の指した次の一手は何か?しっかり受けて、後手の攻めを余して反撃に出るには? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問844-1解答)「穴熊陣を固くしながら相手に手を渡す」 実戦は、△2二銀▲2六歩に△3一銀右と進んだ。後手から△7八とと入り、▲同金に△8九飛成はやりたい手だが、▲8八馬と来られると飛車角交換になってしまう。また△8八歩はいかにも遅く、他に攻め手のはっきりした手はない。そこで無駄のない自陣に手を入れ、相手に手を渡したのが実戦の進行。善し悪しは難しいが実戦的な一手と言える。 本譜は、▲5六馬と寄った瞬間に、△7八とから飛車を成り込んだ。しかし、▲5六の馬が手厚く、その後の指しまわしで徐々に先手が優勢になっていった。その終盤戦が第2問である。 |
(問844-2解答)「一歩で、田楽刺しを防ぎながら角筋も止める手」 ここで▲5七歩と打ったのが手堅い一着。△5五香は打たれてもまだすぐにつぶれる訳ではないが、それでも角筋が急所に利いていると何が起こるか分からない。と言うことで▲5七歩と受けたのが実戦。しかしこれにも△5五香から△4五歩と強引に先手陣に攻め入った。 本譜は、穴熊玉が少し遠い為、評価値がなければかなりの熱戦に見えた。と言うことは、逆に一手でも間違えるとたちどころに逆転するという状況でもある。しかし、玉の距離感を正確に計り後手玉に詰めろをかけ続けると、最後はしっかり即詰みに討ち取り先手里見女流五冠の勝ち、次期NHK杯選手権の出場権を獲得した。 |
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