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将棋に関するミニ感想

2008年9月
9月4日(木) 将棋世界誌企画-詰将棋解いてもらおう選手権・・・にもの申す(ちぃっちゃな声で)

今年5月に発売の将棋世界6月号から「詰将棋解いてもらおう選手権」という企画が始まった。作者名を伏せて出題し、どれが良かったか投票してもらいその得票を競うというもの。もっとも、最初のうちは3手5手で当然一目で解けたので、誰の作かなとはちょっと思ったもののそれほど興味を持って見ていた訳ではなかった。

しかし8月号の7手詰は結構難しかった。それでもその話が特段将棋センター内で出ることはなかったのだが・・・。

先月の8月30日のこと。将棋センターでは夜遅くまでいる常連さんというのがだいたい決まっていて、そういう人たちが何人かいれば、その人達の顔ぶれにより、リレー将棋になったり、ペア碁になったり、あるいは詰将棋大会になったりするのだ。

ところが30日の日は誰も遅くまでいる人がいなくて、午後7時過ぎには五段のプチさんと二人だけになってしまった。こんなに早く誰もいなくなることは珍しいのだが、ふと、「そういえば7手詰で結構難しいのがあったんだけど解いてみる?」と自分が言い出し、例の詰将棋解いてもらおう選手権の問題を並べてみた。


それが左の詰将棋。8月号の第3問目に載っていたもの。

前月号まではそれほどでもなかったが、この7手詰は結構難しかったと思う。なかでもこれにはかなり時間がかかった。
時間を計っていた訳ではないが、おそらく10分以上は考えていたと思う。なかなか詰みが見えなくて、「なんだよ、これ!どうなっているんだ!」とちょっとイライラしてきた覚えがある。

プチさんも同じくらいだった。そして解けた後は、「なるほどなぁ!良い詰将棋だ!」と二人で褒めあったのである。

だが、問題はここからである。時間があったので、「じゃ、最初から(6月号から)解いて、誰の作品か当ててみようか?」と言って解き始めたのである。
誰の作品か当てる、と言っても、今まで谷川の詰将棋以外ほとんど見たこともないし、北浜や村田は話には聞いていても実際に作った詰将棋は知らないし、深浦とか早水に至っては、詰将棋なんか作るんだ?とむしろ驚くくらいであるから、当然のように作者名を想定しても全然当たらなかった。

そこで、6月号7月号は、「じゃあ、最優秀作品を決めてみよう」と言うことになり、すでに結果の出ている答えと合わせてみた。

6月号の優秀作品、自分は第5問をあげた。プチさんも第5問かもしれないけど、と言いながらあえて違うものを、と第3問を1位にあげた。それから8月号の結果を見ると、自分のあげた第5問は谷川九段の作品で、投票結果もこれがダントツで第1位になっていた。そしてこれも良い作品だよと言っていた第3問が第2位。
他の順番は若干違いがあるものの、それでもそれほど投票結果に不満というわけではなかった。

続いて7月号。この号は、第5問目と6問目がダントツに良いと二人とも。で、自分はアクロバティックな第5問を推し、プチさんは第6問を1位にした。そして結果を見ると、第6問の屋敷九段の作が1位、第5問の村田四段の作品が2位となっていてこれも納得。

そんなわけで、そこにある浦野七段のコメントには、「かなり意外な結果なんです。」と書いてあったのだが、「そうかなぁ、結構妥当じゃない!」とこの時は反論していた訳だ。

そして8月号の7手詰、9月号の9手詰と解いていったのである。

9月号はその前の7手詰が難しかっただけに、かなり手こずるかと思いきや、1問目2問目3問目とすらすら解けて、やさしくしたのかな、と思っていたら4問目からが難しかった。それでも4問目5問目はなんとか解いた後、最後の6問目、これがなかなか解けない。
最後、時間がかかった末に解けた時には、「なるほどなぁ!詰め上がり図が想定できなかったよ!」と。
そして、「難易度では第6問だけど、たぶん得票では第4問か第5問だな」と自分は話し、第5問を1位に推した。この結果は来月にならないと分からないが。

ところで、ここからが本題だ。

実は今回、この話をミニ感想に書こうと思ったのは、ここからの出来事、驚きがあったからこそと言える。
まずはもう結果も分かっているので、8月号にあった6問(すべて7手詰)を載せるので、全部実際に解いてもらいたいと思う。
(解答は載せません。10月号を買って下さい。)

第1問 第2問 第3問
第4問 第5問 第6問

そして、この6問を全部解いた人に聞きたい。どれが難しかったですか?と。そしてどれが一番良い作品と推したいでしょうか?と。

自分ら二人で解いた時の時間は各問ごとにそれほど違わない。すなわち第3問が一番時間がかかった。次に第5問と第6問が同じくらい。そして第2問と第3問は受けを考えるため若干時間を使ったものの、それでも複雑ではないので、さほど時間はかからなかった。第1問はひと目で、もっともやさしかった。と言った感じだ。

当然のごとく二人の評価では第3問が最も高い。しかし、この時自分は、「得票では第6問が一番に来るんじゃない?」と言い、プチさんは、「いや、投票するような人はちゃんと全部解いてるだろ。だから第3問が一番に来るよ。」と言っていた。

ちなみに自分の評価順位は、1位が第3問、僅かの差で2位が第6問、さらに微差で3位が第5問で4位が第2問、ここから評価ががくんと落ちて5位が第4問、さらに落ちて6位が第1問と言った具合。

9月3日、将棋世界が送られて来て、真っ先にこの結果を見てみた。すると・・・・・・、


「なんで第3問が最下位なんだよぉ〜!!!」


順位は第6問が1位、第5問が2位、第4問が3位、第1問が4位、第2問が5位、そして第3問が最下位の6位。

1位の谷川作はまあ予想通り納得のいくもの。2位の作品が早水ってのにはビックリしたが、これが2位でもまあ納得。しかし、5位の北浜の作品と6位の屋敷の作品はなぜこの順位なのか、これには納得いかない。

第1問目の作が深浦、第4問目が村田の作と言うことで、この二人には悪いが、ちょっと紛れをなくし過ぎでしょう。でも、簡単にしないと上位に行かないと言うことで、あえてそのように作ったのかもしれないが。

それに、この解説のところにある各棋士たちのコメントを読むと、自分と同じ感想を持っていたことが分かる。つまり、みんな3と6との優勝争いと思っていたらしい(谷川は第2問の北浜作を高く評価)。
浦野七段のコメントには、「第3問の屋敷作は一番悩んだ問題。捨て駒も充実して気持ちのいい手順ですが、解けなかった人が多かったのかなあ。」と言っていたが、まさにその通りじゃないの。

だいたい「1題でも解けたら応募して下さい。」って、それがそのまま得票数になってしまうのはおかしいでしょ!

それじゃあ、解けるやさしい作品、どうでも良いような作品が上位に行っちゃうでしょうが!

この企画そのものは面白いけれどもこの評価基準ではおかしいと思う。たとえば、応募する時は、6問とも全部答えを書いてもらい、解けなかった場合には、「解けない」と書いて送る。そしてそれには相応のポイントを付けるとか、難しいものにも何らかの評価を付けてあげなければ良い詰将棋が上位に来ないと思う。

「全応募者の中からプレゼント、1題でも解ければ送る」というのは良いけれども、やはり解けたものだけ送って得票になってしまうと言うのでは、今回の第3問のように、「解くと難しい、でも解答だけ見るとやさしそう。」という詰将棋は評価が低くなってしまう。
それに10月号は、11手13手詰編だよ!ますます全部解かない人が送ることになり、難しい作品の評価が低くなるような気がする。

手数は5手から9手までで十分。評価方法を変えて、解いた人が良いと思える作品が上に来るようなやり方でやってもらいたいと思うのだが。

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