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NHK杯に見る受けの手筋
(2006年9月4日出題)

第64問(2006年9月3日:藤井九段-山崎七段戦)
(問64-1)
後手山崎七段が、趣向をこらして飛車を振った為、三間対三間の相振飛車になった。その後、左銀を繰り出して飛車の動きを牽制していたが、今△8四飛と一気に攻勢を取ろうと動いたところ。次に単純に△8七飛成と成られては終わってしまうが、ここで藤井九段は、単に受けるだけの手ではなく、反撃を開始した。藤井九段の次の一手は?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問64-2)
先手が後手からの攻めをうまく凌ぎ、駒得したが、今△7七歩成とと金を作られた所で、やはりこのまま単純に△6七とと銀を取られながら寄られてはいけない。
このような場合の手筋の受けを二つ考えて欲しい。一つは藤井九段の指した一手。もう一つは解説でも出ていた受けの手筋。


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問64-1解答)「攻めてきた瞬間に反撃」
8七の地点を受ける為だけに▲9七飛や▲7八銀などと引くのでは、△7六歩や△5六歩があって話にならない。相手の動いた瞬間がスキの出来るチャンスでもあり、ここで藤井九段は▲9七角と銀に当ててのぞいた。この銀を助けると、▲8六歩から▲8五歩が間に合う為、いきおい△8七飛成と成り、▲7五角△7七龍と進む。そしてその直後の▲9七角がさらにうまい受けで先手がポイントを取ったまま終盤戦へ入った。



(問64-2解答)「と金を払える両取り」
時々実戦に出る形として一段目の龍とと金。はってきた瞬間に銀で両取りをかけるような受けがあるが、このように三段目に桂の両取りがかかることは珍しい。級位者の場合は、(▲8九桂と)打たれてあわてることもあるが、プロの場合は普通読みに入っていて、△6七とと大駒を見捨てる形でしか歩を成らない為、こういった桂が成立することはめったにない。本譜は△6七とだと、龍を取った桂で飛車にヒモがつき、△5八と▲同金△7六角が両取りにならない為、成立しないのだろう。山崎七段はやむなく△9九龍と逃げたが、味良くと金を取られては大差になり、この後勝負手で粘るも、的確な藤井九段の寄せに逆転することは出来なかった。
なお、このような受け(▲8九桂)が成立しない時によく出る受けの手筋として、解説でもやっていた▲7八銀というタダ捨てがある。△同とと取らせる事でと金の位置を悪くする訳だ。これも覚えておくと役に立つだろう。

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