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NHK杯に見る受けの手筋
(2006年9月11日出題)

第65問(2006年9月10日:行方七段-久保八段戦)
(問65-1)
後手久保八段のゴキゲン中飛車に、角交換して最新形の左美濃に構えた行方七段。お互い動きの難しい中盤で、▲5六歩と先手が動いた瞬間を狙って今△6九角と打ち込んだところ。もちろんこのまま4七の銀を取られてはいけないが、受け方も悩ましい。実戦で指された行方七段の強い受け方は?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問65-2)
最終盤、先手玉には詰めろ(頭金の一手詰)がかかっており、後手玉は詰まない。玉が裸なので受け切るのは大変だが、とにかくこういう場合、一手はほぼ必然の受け(損のない受け)なのでまずその一手を指し、さらに相手がまた一手スキをかけたらまた考えることになる。
ここで行方七段の指した一手は?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問65-1解答)「駒に当てて強く受ける」
▲5七金と受けるのは、△5六歩を取り込まれて不利になる(▲同銀は△3六角成、▲同金は△4七角成、▲5八金は△5一飛)。▲5八角は固い受けだが、△同角成に▲同飛は再度△6九角、▲同銀は△5六歩で後手の方が伸び伸びしている。ここで行方七段は、強く▲5八銀と角に当てて銀を引いた。この銀引きは、角は取れるが、金駒を一枚はがされる為読みが必要だ。
本譜はこの後、△7八角成▲同銀△5六歩と進み、後手が一本取ったのかと思ったが、直後の▲3五歩が反撃の第一弾。その後好手となる遠見の▲1八角を放ち、先手リードのまま終盤戦へ入った。



(問65-2解答)「遊び駒を使って受ける」
相手の持ち駒が金だけなら▲7八金とか▲7九金とか打って受かることもあるが、桂を持っていると、さらに△7六桂と足されて寄せ切られてしまうことが多い。
ここで、行方七段は一旦▲5八飛と遊んでいる飛車を使って頭金を受けた。本譜は△7六桂と手筋の桂を打ったが、この地点に駒が来たため、何と▲6四桂から詰んでしまった。△6八歩なら後手玉に詰みはないが、少なくとも、5八に歩の垂れた状態に比べて▲5八飛△6八歩の交換は先手に取って損にはならない。
なお、感想戦で、△6八歩は▲8七金△7六桂に▲7九金と受けられてはっきりしない、ということを久保八段は話していて短い間には結論は出なかった。

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