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NHK杯に見る受けの手筋
(2007年1月29日出題)

第84問(2007年1月28日:野月七段-渡辺竜王戦)
(問84-1)
相掛かりから先手の野月七段は飛車を深く引き、渡辺竜王は浮き飛車に構えた。その後、△7五歩から△7六歩と手を渡した後手に対し、▲9七銀から▲8六銀の形で7五を受けた為、薄くなった中央で後手が動き、戦いが始まった。
今、6五で銀交換が行われ△6五同桂と桂を跳ねた所。単純に△5七桂成と成られてはいけないので、ここでは受ける一手だが、どのように受けるのが良いか。いろいろな受けはあるものの、野月七段の指した一手は、もっとも自然な一手だった。


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問84-2)
野月七段のギリギリの受けに対し、踏み込んでいった渡辺竜王だが、少しずつ余されて、ここではハッキリ先手の勝ちに。もちろん次に△5五銀を喰らっては逆転だが、この筋さえ受ければ先手の勝ちだ。
そこで、普通は▲6六桂と指す所だが、野月七段は、解説の先崎八段も絶賛した絶妙の攻防手を。その一手とは?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問84-1解答)「桂頭の銀、定跡なり」
ここでは、ちょっとひねって▲4六角のような手もあるが、最も普通の受けは、▲6六銀という桂頭の銀だ。「桂頭の銀、定跡なり」という格言もあるように、桂に対する受けの基本形。これで、5七と7七の両方を、桂取りの先手で受けたことになる。



(問84-2解答)「全てを読み切る受け」
ここで野月七段は▲7四飛と寄った。普通は▲6六桂くらいでそれでも先手が残していそうだが、▲7四飛は、勝ちを決定づけた好手。△5五銀には▲6五玉で寄らないことを読み、適当な受けもない(歩が利かず、銀を打つのは▲6四桂がある)ことを読み切った攻防手だ。

実戦はこの後、△6二金に飛車が成り、いくばくもなく投了となった。

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