第91問(2007年3月18日:佐藤棋聖-森内名人戦) |
(問91-1) 序盤から先手の佐藤棋聖が端歩を取って向かい飛車に振ったため手将棋模様に。その後、見応えのある中盤から大技小技が飛び交いやや後手の良さそうな局面になった。 しかし、食い付く先手に、寄せ切られたのでは、と思われるような局面になり、さらにそこから受けの勝負手も出て、今▲5五銀と一枚金を補充した所。ここで先手玉に迫る手があれば良いが、すぐに攻める手はない。と言うわけで、後手としてはハッキリ切らしに行く必要がある。この局面で、森内名人の指した一手は? (答えはこの下に) |
(難易度・・・) |
(問91-2) 切れたかと思われた先手の攻めだったが、受けに疑問手もあり、この局面は先手が有望。今△1六歩と伸ばして先手玉に一手すきをかけた所。後手玉は詰まないので受ける一手だが、どのように受けるべきか。このような局面で良く出る一手は? |
(難易度・・・) |
(これより下に解答)
|
(問91-1解答)「攻め駒に安い駒を当てる受け」 ここで森内名人は△3一香と金に当てて香を打った。これでどうやら先手の攻めを凌いでいるようだ。本譜は▲2五桂△2四玉▲4四金と張り付いた手に対し、△6一角が疑問(あるいは敗着)で形勢を損ねた。感想戦で話された手は△4二桂!打ちづらいがこれで凌いでいるらしい。 本譜は△6一角に▲3四金寄から精算し、さらに難解な終盤戦が続いた。 |
(問91-2解答)「玉の早逃げ」 ここで佐藤棋聖の寄った▲2八玉がピッタリした一手だった。この手は詰めろにはなっていないが、後手から駒を渡さずに迫る手がない味の良い一手。特にこの局面では、▲4二馬とか▲4四飛とか受け駒を使わせる手を先に考えてしまうが(実戦では受け駒を使わせてしまった方が良い場合も多い)、何もせずにじっと寄った手が深い。最も、実戦はさらに難解で、以下△1七銀▲3七玉に△3六香▲同玉△3五金と上部を厚くし、後手も逆転を狙う。 実際、見ている時はどちらが残しているのか分からなかったが、ゲタを預けた後手の手に対し、最後は馬切りから軽妙な桂の成り捨てで即詰めに討ち取り、佐藤棋聖がNHK杯初優勝を決めた。 |
先週の問題へ/来週の問題へ |