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NHK杯に見る受けの手筋
(2007年4月9日出題)

第93問(2007年4月8日:村山四段-木村八段戦)
(問93-1)
先手村山四段の居飛車に角道を止めじっくりと駒組みを進めた木村八段。角交換後、双方金銀四枚を玉頭に集中させるという展開になったが、村山四段がその玉頭から仕掛けた。
そして今、▲3七角に△9二飛と香取りを受けたところ。先手はすぐにでも▲7三歩成と成りたい所だが、△2五桂があり、と金を取られてしまう。そこでその手を防ぎながら次に▲7三歩成を見た村山四段の指した次の一手は?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問93-2)
双方力の入った中盤が続き、後手の木村八段が踏み込み、攻め切ったかに見えた終盤戦だったが、後手玉も二手手抜いた為相当危ない。そして今△7七歩成と銀を取りながら王手した所だが、ここで先手はどのように応対するべきか。
このような局面で良く指される一手(実戦)と、実戦ではなく感想戦で話された一手(妙手)は?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問93-1解答)「角のラインをそらさない方法」
ここで村山四段は▲6八飛と角の利きを7三からそらさないように逃げる場所を空けた。これは次に▲7三歩成を見た手で、△2五桂に▲2八角を用意している。また、2八の地点を空けるだけなら他の場所へ飛車が動いても空けられるが、常に角の打ち込みを警戒しなければならず、この地点がもっとも安全。
本譜はここから△4六歩▲同角△4五銀と難解な中盤戦が続いた。



(問93-2解答)「Z(ゼット)の形とその例外」
ここで実戦は▲9七玉と逃げ、△7九角に▲8八桂合いを強要され、△6八金に▲3三銀から王手したが詰められなかった。
△7七歩成に▲同桂と取るのは△7九角からやさしい詰み。こういう場合本譜のように▲9七玉と逃げるのが手筋で、八段目には飛車が、8六には銀が利いているので、いわゆるZ(ゼット)の形(絶対に詰まない形)で勝ちになるケースが多い。
しかし感想戦で話された手順は▲9八玉!普通は△8八金から詰むことが多いのだが、この局面では上部が厚く、詰みはないようだ(△8八金▲同飛△同とに▲9七玉!)。そうなると桂一枚合駒しないで済むだけこの方が良いことになる(但し感想戦では、△4三金と手を戻して難解という話になっていた)。
終盤では、形や手筋を知っている上、その例外もあるので、さらに読みが必要になるということだ。

なお、実戦は桂がなくても後手玉に非常に難解な詰みが生じたが、それを逃し、逆に後手玉が△1三玉と斜め駒Zとなり(斜め駒がないため絶対に詰まない形)、凌ぎ切ることになった。


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