第110問(2007年8月5日:森内名人-佐藤(天)四段戦) |
(問110-1) ▲2六歩△8四歩から相掛かりで始まった本局は、序盤早々後手佐藤四段の不用意な一手で、先手の森内名人がポイントを稼いだ。しかし、そこから粘りのある指し回しで、長い中盤戦が続いた。 今、△9五歩に▲8六飛と一旦戻ったところ。後手は銀香交換の駒得を果たし、序盤の失点に比べればずいぶん押し戻してはいるが、陣形的な欠陥も多く、まだまだ大変な局面。ここでは、先手からの厳しい攻め筋を考え、それを防がなくてはならない。佐藤四段の指した渋い一着は? (答えはこの下に) |
(難易度・・・) |
(問110-2) 最終盤、猛烈な追い込みで、先手玉を危険地帯に追い出し飛車交換を強要。 今、先手の森内名人が、▲5一飛と王手し、△2二玉とかわしたところ。ここでは、▲1四桂や▲2三香など詰みそうな手が多いのだが、明快ではない。ここで指された森内名人の一手は? |
(難易度・・・) |
(これより下に解答)
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(問110-1解答)「敵の打ちたい所へ打て」 まず、ここでの最も厳しい攻め筋が分からなければならないが、それは、▲2四歩と垂らし、▲5六角と打つ筋だ。△3三歩と受けても▲3五歩で▲2三歩成が受からない。 そこで、この垂らしを受けるために、佐藤四段は△2四歩と「敵の打ちたい所へ」打って辛抱した。ただ、この局面は、もう一つの攻め筋、▲3三歩から▲3五歩があり、実戦もそう進み、先手が攻勢を続けた。 |
(問110-2解答)「相手の攻めを完全に受け止める」 いかにも詰みそうなので、思わず踏み込んでしまいそうだが、駒を渡すと本当に受けがなくなってしまう。 ここで森内名人の指した一手は▲4七銀。続く△4八飛に▲3九桂で受け止めているというもの。 このように”受けるだけの手”は、ここではあまり取り上げず、実際終盤では緩いことも多いのだが、敵玉にはっきりした詰みが見えず、相手の持ち駒が少なくて、確実に受け止められると思う時は、このように受けるのもまた正しい選択。 本譜は後手に手がなく、やむなく飛車取りに角を引いた手に対し、香の王手から最後はきれいな即詰みに討ち取った。 |
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