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NHK杯に見る受けの手筋
(2008年9月22日出題)

第165問(2008年9月21日:森下九段-渡辺竜王戦)
(問165-1)
先手森下九段、後手渡辺竜王で、ガップリ四つの相矢倉となった本局は、後手が端攻めを敢行して戦いが始まった。その後、先手玉が上部に脱出出来るかどうかと言うきわどい勝負となったが、森下九段らしい堅実な受けが何度も出て、ここでは先手が凌ぎきり優勢となった。
今△7四歩と馬取りに歩を打ったところで、正解は必ずしも一つという訳ではないが、森下九段の指した手厚い一手とは?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問165-2)
上図より数手進み、と金が二つも出来、先手玉は容易に捕まらない形に見える。実戦はここで▲2五歩と銀を取って、場合によっては攻め合いも見たのだが、△7七成銀と金を取られ、▲同銀に△2八角と打たれ、やや怪しくなった。
感想戦でも話されたここでの受けの好手とは?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問165-1解答)「同じ交換でもと金を残す手」
▲6四馬と逃げるのは、△6二歩と打たれ、ちょっと嫌な感じだ。そこで普通は▲7四馬と取るのかと思っていたが、ここで森下九段は▲8四歩と金頭を叩いた。指されてみるとこれが好手で、△7五歩▲8三歩成の交換は、単に▲7四馬から交換した場合に比べると、駒割りは同じだがと金が出来ている分だけ上部が厚く勝る。これで容易に寄らない形になった。



(問165-2解答)「金をかわす受け」
金銀がぶつかっている時に、金や銀をかわすという受けは良く出てくるし、普通の受けであるが、この局面は、むしろ取ってくれるなら▲8七金と取ってしまいたい。しかし、そうすると△8七同龍ではなく、△6六龍と切られ▲同玉に△7四銀と上部を押さえられてしまう。そこで、本譜は▲2五歩と銀を取ったが、△7七成銀▲同銀△2八角で急に難しくなった。
感想戦で、渡辺竜王が指摘したように、ここではじっと▲6七金とかわしておくのが冷静な受け。金がないと先手玉にはアヤも付けられない。
実戦は△2八角以降、それでも先手の余せる手段は残っていたが、最後の最後に受け間違い、先手玉が即詰みになってしまった。


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