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NHK杯に見る受けの手筋
(2008年10月20日出題)

第169問(2008年10月19日:福崎九段-佐藤(康)NHK杯選手権者戦)
(問169-1)
先手福崎九段の居飛車に、佐藤NHK杯は、ゴキゲン中飛車から向かい飛車に振った。その後、先手が玉を中央に構え、向かい飛車に振るという大胆な構想を見せ戦いが始まった。
そして今、▲4五桂と金銀両取りをかけたところ。ここで後手の佐藤NHK杯はどのように指したか。もっとも普通の手とも言えるが、この局面では指し方は必ずしも一つではない。


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問169-2)
後手の攻めを緩和し、▲3二歩や▲7五桂を間に合わせたいという状況が続いていたが、今△1四角と玉に狙いを定め角を打ってきたところ。
ここで先手の福崎九段の指した一手は?アマでも有段者なら当然考えられる一着ではあったが、局後の感想によるとむしろ敗着に近く、他の手を指した方が良かったらしい。


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問169-1解答)「大きな駒損にしない基本の受け」
ここで後手の指した一手は△4四銀。これは将棋を覚え始めた人でも指せる普通の一手だ。▲5三桂成とこちらの銀を取られてはいけないし、持ち駒を使わないで、タダ取りを防ぐにはこれしかない。
ただ、局面によっては、△6二銀というような金を犠牲に玉を固め、その一手を攻めに使うという考え方もあり、△4四銀が絶対という訳でもない。
実際には△5五桂とここに何度も桂を打つ手が厳しい為、桂を入手しておくのも大きな手ということで佐藤NHK杯は△4四銀ともっとも普通の手で応じた。



(問169-2解答)「角筋を避ける受け」
ここで福崎九段は▲4八玉と角筋を避けるため玉を動かした。一般的に角筋というのは非常に強力で、この場合も、次に△3八銀とからめられてはいけないように見える。その為、一手かけて玉を動かしたが、次の△4五歩が厳しく、玉が寄った手に一手の価値がなかったようだ。
これは感想戦だが、▲4八玉では受けを手抜きし、▲7五桂など攻めに一手かける方が良かったらしい。
ただ、一般的には、角筋を避けるのは一手かけても有効なことが多いので、手筋として覚えておくのは役に立つと思う。
本譜は、△4五歩▲同歩△4六歩▲同金に△6九銀とかけられ、ギリギリではあったが、攻める余裕もなく寄せ切られてしまった。


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