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NHK杯に見る受けの手筋
(2009年4月13日出題)

第194問(2009年4月12日西尾五段-井上八段戦)
(問194-1)
先手西尾五段の居飛車に、後手の井上八段は飛車先を突かず4筋の位を取り、金銀を前戦に出していった。そして戦いは3、4筋で始まり、後手が押さえ込めるか、それを突破出来るかどうかと言った戦いへと進んだ。
今、△3六歩と桂頭に歩を打ち桂得が確定、後手が一本取ったかと思える局面。しかし実際は先手の一連の読み筋でもあり、そう簡単ではなかった。この後の西尾五段の指し手は?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問194-2)
難しい中盤戦が続いていたが、▲3四銀打とからんだ手が逆に後手を引くことになり先手が形勢を損ねた。その後、粘る先手に対し、着実に網を絞り有利を拡大していった井上八段。今△6五桂に先手が▲8六角と王手をしながら7七の地点を受けるという攻防の角を放ったところ。ここで後手の指した一手は何か?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問194-1解答)「桂得vs歩二枚得の大局観」
3、4筋に厚みを築かれ、桂損しては先手がまずいのかと思っていたが、ここでじっと▲4八金と上がった手が桂損でも、後手に歩がないことと歩得で形勢が保たれていると見る明るい大局観。実際、△3七歩成▲同金△4五桂と後手の調子が良いように見えるが、▲3六歩とここから逆襲し意外に大変。この後も3、4筋で一進一退の難しい中盤戦が続いた。



(問194-2解答)「攻防手に攻防手で返す」
ここで井上八段は△6四桂と打って王手を受けた。この手は王手を防ぎながら、8六の角がいなくなると△7六桂という手を見ている攻防の一手。終盤は一般的に受けるだけの手より受けながら攻めも見る手の方が価値が高い。

実戦はこの後、▲9八玉!や▲7八銀!など悪いながらも粘りのあるアマチュアに参考になる手を随所に出して何とか逆転にのぞみをつなげたが、玉の距離感を正確に捉えた井上八段が着実に差を広げ、最後は先手の攻め駒を一掃し逆転を許さなかった。


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