第206問(2009年7月5日阿久津七段-松尾七段戦) |
(問206-1) 先手阿久津七段、後手松尾七段で戦型は横歩取り△8五飛戦法。先手が後手と同じような囲いにし、後手が先攻して戦いが始まった。中盤は力の入った攻防が続き、途中角を捨てて角を素抜くという大技も出てテレビ棋戦らしいハデなやり取りも行われたが、形勢不明なまま終盤に入った。 今▲5三成桂と金を取りながら成桂を引き、次に▲4三角成からの詰みを見たところ。ここで後手松尾七段の指した一手は?受けないと▲4三角成△2二玉▲3一銀△同玉▲2一金△4一玉▲4二成桂の詰みがある。 (答えはこの下に) |
(難易度・・・) |
(問206-2) 後手玉への一手スキが途絶え、後手の手筋連発で先手陣が猛攻を受けている局面。△4五桂は詰めろのような詰めろでないような微妙な一手だ。 ここで先手の指した一手は? |
(難易度・・・) |
(これより下に解答)
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(問206-1解答)「玉の早逃げ八手の得」 4三の地点を受ける為に△3三金とか△4四金とかを足すのでは先手にも駒を足されてしまう。同じ受けるなら△3一桂のような受けの方が良いがそれも手順に取られてしまいそうで、実戦で指された△2二玉の早逃げが軽い受けだ。 この後本譜は▲4三角成に△3二歩、▲2四歩△同金▲4二成桂に△1四歩と詰めろが続くかどうかの際どい勝負となった。 |
(問206-2解答)「終盤は”詰めろ逃れの詰めろ”」 現在の状況は、飛車を打ってから、あるいはダイレクトに△5七桂不成と金を取られるので先手玉は非常に危ない(実際には詰みはなさそう)。また後手玉は▲2三成桂と取っても△同金▲2二銀打に△2四玉で詰みはない。 こういう際どい終盤で一番効率の良い手は、「詰めろ逃れの詰めろ」。自玉の詰めろを消しつつ相手玉に詰めろをかけられれば一番良いわけで、ここで阿久津七段の指した一手は▲4六金と出る手だった。 この手は先ほどの▲2二銀打△2四玉に▲3五金打の詰みを可能にした手で後手玉は詰めろとなった。ただ、金が逃げたとは言え、5七の地点を押さえられ、先手玉も相当際どい。 しかし結局先手玉は詰まず、受けのない後手玉はこの後数手で投了となった。 |
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