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NHK杯に見る受けの手筋
(2009年9月7日出題)

第214問(2009年9月6日森内九段-豊島五段戦)
(問214-1)
先手森内九段の居飛車に、後手豊島五段のゴキゲン中飛車という戦型で、手順を再現しているだけのような猛スピードで序盤が進んだ。中盤に入り、慎重な駒組みから△6四角という趣向を放った後手が、一気に仕掛けて双方の大駒のさばき合いになった。
そして今、▲4一飛とこの地点に飛車を下ろしたところ。後手としては△2九馬と桂を取りたいが、▲5五歩でしびれる。ここで指された後手豊島五段の一手は?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問214-2)
後手の受けの勝負手とも言うべき△2四飛が功を奏し局面は形勢不明。後手の二枚の金銀の形と飛車が生なのは不満だが、現実に桂香得をし2一の桂が1七まで逃げているのも大きい。
ここで先手森内九段の指した一手は?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問214-1解答)「場合の好手-香を逃げる手」
ここで豊島五段は△1三香と香を逃げた。こうした手はまれに出現し、プロが指す場合は、当然の手で好手になることが多いが、アマチュア、特に初心者はあまり真似しない方が良い。と言うのも、このように香を逃げる手と言うのは、先手にも後手にも他に有効な手がない場合に限るからだ。
たとえば1九に馬がいない局面で、△1三香と逃げると▲5五歩がより以上の痛打となっていっぺんに形勢を損なう。先手からの急な攻めがなく、また後手の攻めも早いものがない場合に限り、一手で香を取られる手を防ぐのが好手となる。
なお、▲1一飛成から▲1三龍と取れば香は取れるが、一手で取れる香を二手かけてしかも龍の位置が悪くなるので、そうなるなら△1三香と逃げた手は十分効果を果たしたといえる。



(問214-2解答)「戦いながら金を玉に近づける」

ここで森内九段の指した一手は▲5八金。金銀というのは、本来は戦いの始まる前に離れ駒をなくしておくのが良いが、実際には離れたまま戦いに入ることも多い。その場合、もちろん忙しい手がある場合には間に合わないこともあるが、この局面のように、すぐに何かがある訳ではないときは、じっと金銀を玉に近づけるのが好手となる。
大山が良く戦いながらいつの間にか金銀を玉の守りにつけていたことは有名だが、指す手が分からなくなった時は、一手かけても金銀を守りにつける。そのような手が疑問手になることはほとんどないと思って良い。

実戦はこの後2四の飛車を攻め、飛車と馬を交換した先手が二枚飛車で確実に攻め、後手からの反撃を余して勝負を決めた。


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