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NHK杯に見る受けの手筋
(2009年10月12日出題)

第219問(2009年10月11日先崎八段-阿部八段戦)
(問219-1)
先手先崎八段の三手目▲6六歩に対し、後手の阿部八段は△6四歩と趣向を見せた。その後、先手四間飛車対後手右四間飛車穴熊となり進行。
下図は今▲8八飛と6八にいた飛車を8筋に回り、次に▲8四歩を見たところ。ここで後手阿部八段の指した一手は?手の奥に潜む意味合いは難しくても単なる受けの手としては極めてやさしい一手。


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問219-2)
中盤の難所だが、すでに後手の阿部八段は悪いと感じていたようだ。今△2四歩と銀取りに突いたところ。この手の意味は?そしてその後の先手の読みは?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問219-1解答)「”利かす”ことと”利かされる”こと」
▲8八飛に対し指された手は△8二飛。8筋を受ける手としてはもっとも自然な一手ではあるが、このような手を”利かされる”と表現され、人によっては嫌い、受けない人も多い。
受けないなら△6五歩と突き戦いになるが、▲同歩△同銀▲3三角成の時の取り方の味が悪く指せなかったらしい。
▲6八飛と△6二飛ではその働きは互角であったが、▲8八飛と△8二飛ではその働きに差が出て先手の方が良い。このように▲8四歩を受ける為に仕方なく回った飛車ではあるが、”利かされた”為に先手にポイントを稼がれた。ただ形勢を損ねた訳ではないので、仕切り直して再度攻撃態勢を取ることになる。



(問219-2解答)「銀バサミにならないように」

△2四歩に対し▲同銀と取るのは一番悪く△2三歩で銀バサミ。初心者時代には必ずと言って良いほど一度は食った手だ。△2四歩に▲3六銀はこれでも△3五歩で銀が死ぬ。ここまでは普通に考えればすぐに見える。問題はこの先で、△3五歩には▲5六歩と突き、△4四角▲4五歩△3三角▲3五銀で銀を助けられるとまで読めれば正解。この手順で銀は死なない。
本譜は△3五歩ではなく△6五歩と突いて決戦に持って行ったが、もし角を追えず△3五歩で死ぬような局面であれば△2四歩に▲3六銀ではなく▲1四銀とこちらを取るような手もあることを覚えておきたい。もっともこちらも△1四同香ではなくさらに△1三歩と打ってタダで銀を取りに来ることになるが、▲1五歩と伸ばし△1四歩▲同歩で穴熊陣にキズを残し勝負することになる。

実戦は8筋から飛車を成り込んだ先手が、巧みな手順で穴熊陣を崩し、先々週に続き振り飛車快勝の棋譜が出来上がった。


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