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NHK杯に見る受けの手筋
(2009年10月19日出題)

第220問(2009年10月18日阿久津七段-行方八段戦)
(問220-1)
先手阿久津七段、後手行方八段で相掛かり模様の出だしであったが、後手の行方八段が趣向を見せ、それに反発する形で序盤から力戦調の将棋になった。
下図は先手に角を打たせ、さらに▲2六歩まで打たせたため後手ペースとなっている局面。ここで後手の行方八段は△7五歩と指したが、これは局後悔やんだ一手。ここでは平凡ながらも普通の受けがまさった。その一手とは?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問220-2)
1〜3筋の折衝で技をかけた先手だが、後手からも△1四角の切り返しを見せたところ。ここで先手阿久津七段の指した一手は?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問220-1解答)「”狭い飛車”は早めに逃げ道を確保」
ここでは平凡ながら△3五歩が良かった。実戦は△7五歩とした為、▲3三角成の強襲が成立し、△同銀▲2五歩で飛車が死に、いっきに勝負形から先手有望となった。
△3五歩のような手は直ちに▲3六歩と反発されるので、有段者になるとこのような手を指すのでも十分読みを入れて指すようになるが、特に初心者で駒落ちの下手を持つ場合には、「狭い飛車」は早めに逃げ道を確保しておきたい。飛車を捕まえられると勝負が決まってしまい、また上手は常に捕まえられるかどうか考えながら将棋を指している。



(問220-2解答)「効率の良いヒモの付け方」

2五の飛車を逃げると、馬を作られながら4七の銀を取られてしまうのでこれは論外。そこで飛車にヒモを付けることになるが、▲3六銀と出るのは玉が薄くなり△2五角▲同銀でこの銀の位置が悪すぎる。
そこで阿久津七段の指した一手は2九の桂を活用する▲1七桂。ヒモの付け方としてはもっとも効率が良い。△2五角なら▲同桂と取りながら3三の銀に当たるのでこの交換は先手十分。

本譜は△2四歩と突き▲1五歩から△2五角▲同桂△同歩となり駒損もなく(正確には先手の歩損)、手番を握った先手ペースとなった。
実戦は二枚の桂を中央に配した先手が、後手の粘りを封じ、一気に寄せ切ることに成功した。


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