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NHK杯に見る受けの手筋
(2009年10月26日出題)

第221問(2009年10月25日屋敷九段-佐藤(康)九段戦)
(問221-1)
先手屋敷九段、後手佐藤九段で、両端を突き合う形での相横歩取りになった。その後、お互いの攻め筋をにらみ合いながらの駒組みとなり、激しい戦闘に突入。盤面全体で駒の交換が行われた。
下図は今4五の地点で飛角交換が行われたところ。7六の金が桂に当たっており、このまま取られながら△7六桂と跳ねられてはたまらない。そこでどのように受けるか。もっとも自然な一手は?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問221-2)
後手の佐藤九段が華麗な寄せを披露、後手が必勝になった。下図は最後の王手▲6一銀。この手に対しどちらへ逃げるか?その後の読みも考えて慎重に次の一手を指したい。


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問221-1解答)「金は引く手に好手あり」
ここでは▲7七金と引くのがもっとも普通。「金は引く手に好手あり」という格言があるように、金という駒は前戦に出ているより出来るだけ下にいた方が利きが強い。たとえばこの後、△7六銀とかぶせてくるような手に対してはさらに▲7八金と引きたいし、△7六歩には▲6七金と寄って受けることになる。
実戦はここで△5六桂というタダ捨ての桂はねを実行。▲同歩に△7九角の筋を見ながらの▲5七銀で一気に先手玉を寄せにかかった。



(問221-2解答)「終盤は駒の損得より明解に詰まない手順を」

先手玉は、(後手が)金銀を持っていればほぼ受けがない。そこで持ち駒を使わずに自玉(後手玉)を逃げ切れば良いことになる。
▲6一銀に対し△6二玉でも詰まないように見えるが(実際も詰まないのだが)かなり危ない。読みとしては、以下▲7二銀成△同玉に▲7一金は△6二玉▲6一金△5二玉▲8二飛成△6一玉で、また▲8二金は△6二玉▲7一飛成△5二玉で僅かに足りない。しかし▲7二銀成△同玉には▲7三金が相当だ。△8一玉▲8三香に△7一玉と逃げて僅かに逃れてはいるが、もし▲7三金を△同銀と取ってしまうと▲同歩成△同玉に▲7一飛成あるいは▲6五桂と打ってとん死になる。
このような危ない筋を全て読み切るのは大変。そこで金を犠牲に△4一玉と逃げるのがこの場合の安全な逃げ方。さらに▲7二銀成には持ち駒を使わず△5一銀と引くのが重要なところ。金銀を打ってしまえばより安全だが、持ち駒が一枚になると、先手玉の詰めろが消え、詰めろをかけられたり、受けられるおそれも出てくる。

本譜は△5一銀と引いたところで、後手玉は詰まず、先手玉の詰めろもほどく術がなくここで投了となった。


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