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NHK杯に見る受けの手筋
(2009年12月14日出題)

第228問(2009年12月13日藤井九段-丸山九段戦)
(問228-1)
先手藤井九段、後手丸山九段で相矢倉の戦型となった。ただ相矢倉と言っても、藤井九段愛用の早囲い。そこから先手の攻め、後手の受けがしばらく続いた。

下図は、角金交換の駒損ながら▲3四歩と▲3五銀が急所に利いていて先手も十分にやれる形。今、△5二飛と回ったところだが、ここで先手藤井九段の指した一手は?三手一組の手を考えてもらいたい。


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問228-2)
先手が駒を存分にさばき、今▲3三銀成と銀を取ったところ。王手なので何かで取り返すしかないが、こういうところは何で取るのが良いか。後手丸山九段の指した一手は?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問228-1解答)「敵陣を乱してから受ける手筋」
△5九飛成と成らしてはいけないので部分的には▲5六歩と受ける一手だが、その前に一本▲5三歩と叩いたのが好手。△5二飛と△5三飛では飛車の働きが違うので、もし歩がたくさんあれば叩くのはほぼ絶対のやさしい手筋となる。但し、この実戦では▲5六歩で歩切れになるため、(▲5三歩と)叩くかどうかは難しい選択。実際、多くの場合は歩切れになる方が痛いので叩かずにじっと▲5六歩と打っておくのが普通と考えて良い。
本譜では歩切れ以上に飛車を浮かせた一手が大きく、先手十分なまま終盤戦に入った。



(問228-2解答)「中段玉は寄せにくし」
▲3三銀成を金で取るのは△4二銀、桂で取るのは▲3四歩などの攻めはあるが、もしこうした攻めがなかったとしても、▲1一香成△同玉と玉が下段に落ちる形は出来るだけ避けなければならない。
「玉は下段に落とせ」の格言通り、下に落ちると寄せやすくなる。と言うことでその逆、玉は上部へ出た方が捕まりにくくなるのである。もっとも、それは常に回りの状況を見て判断すべきで、たとえば先手に桂の持ち駒があり、直ちに▲4五桂打と打てるような場合は、泣く泣く桂で取ることになる。

実戦は上部へ出たと言っても入玉できる形ではなく、持ち駒も豊富なため、まだ先手に十分な形勢ではあったが、決め手を逃すと少しずつ怪しくなり、最後は見落としによる一手バッタリで終局となった(後手勝ち)。

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