第241問(2010年3月21日糸谷五段-羽生NHK杯選手権者戦) |
(問241-1) NHK杯決勝は、先手糸谷五段、後手羽生NHK杯となり、戦型は一手損角換わり、先手早繰り銀対後手の腰掛け銀で進んだ。 良くある形から▲3四歩、▲8三歩と叩き、今▲3三銀と打ち込んだところ。この攻めが成立しているかどうか難しいところだが、ここで指された後手の羽生NHK杯の一手は? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問241-2) お互いが受けずに攻め合った為、一手争いの終盤戦に突入した。今、△5八角成と金を取った手に▲3二龍と入り、次に▲4一成銀の一手詰を見たところ。先手玉は詰まないので、受けるしかなく、しかもここでの受けはほぼ一つしかない。その一手とは? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問241-1解答)「打ち込みにかわす受け」 打ち込んだ手に対し金駒をかわすと言うのは実戦でも良く出る。特にこのように歩の上、三段目に打ち込まれた時は、引いて受ける手筋は部分的には一番多く、級位者の人にも指してもらいたい手だ。しかし、この場合は、もう少し複雑。と言うのも、金を引くと、すぐに飛車を成られるからで、手抜いて▲3二銀成〜▲2三飛成の攻めと一手かけて▲2三飛成〜▲3二銀成の攻めのどちらが後手にとって得かを見極めなければならない。 なお、多くの場合、打ち込んで来た駒を△同金と取って、▲同歩成と歩に成られるのは悪いと覚えておいて良いだろう。 |
(問241-2解答)「駒を節約してはならない場合」 ここで、▲4一成銀の一手詰だけを受けるなら、△4二金や△5二金(打たないで上がる)など二、三あるが、△5二金打以外の手は、すぐに負けることになる。 この局面の後手の急所は、▲6三歩や▲7二銀(金)など玉の逃げ道に駒を置く手。そのような手を先手に指させてはならない。従って、△6七歩成と成るのも、後手の寄せが先手より早いことを読み切ってからでなければ指せないことになる(歩が利くようになると▲6三歩が厳しい)。 実戦は、当然のごとく△5二金打と金を投入した訳だが、寄せに駒が足りなくなることがなく、自陣がその一手によって、一手以上手を延ばせるなら、持ち駒を投入してもしっかり受けておく必要がある。 実戦はこの後、先手も▲8六歩と受けの勝負手を放ち、後手玉に肉薄したが、最後はゆるみない寄せで、羽生NHK杯選手権者が勝ちきり、2連覇を達成した。 |
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