将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2010年7月12日出題)

第257問(2010年7月11日 阿久津七段-脇八段戦)
(問257-1)
先手阿久津七段、後手脇八段で、後手の角交換振り飛車穴熊。
先手が矢倉にガッチリ囲い7筋8筋の位を取った手に、後手が△5五銀と銀をぶつけて戦いに入った。その後、先手が銀を投入して桂得を果たし、その銀が働き出さないうちに後手が玉頭から反撃をはじめた。今、△6五歩に▲5二成銀と4二にいた成銀を寄ったところ。ここで次の一手が問題となり、感想戦でも検討されたのだが、実際に指された手と、こう指すべきだったと言われた次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問257-2)
駒割りは角と金桂の交換で先手の二枚替えだが、3四に打った銀が6三まで進み穴熊に張りついているため、先手優勢となっている。それでも王手のかからない遠さを生かして今△6六歩と矢倉に襲いかかったところ。ここで、先手阿久津七段の指した一手は?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問257-1解答)「利かされる形-悪い時の辛抱」
▲5二成銀には△4一飛と角を取り、「どちらかを取って下さい」というのが普通だが、本譜、▲6二成銀と金を取られて、やはり悪くなってしまった。ここは感想戦でも話された△7二金と辛抱する手がまさった。7一に飛車がいなければかわして受けるのは最も普通の手だが、このような局面では飛車がまったく使えなくなってしまうので、「利かされ」として通常良くないことが多い。しかし、この場合は例外で、以下▲2三角成に△4七角ともたれて意外に大変だったようだ。


(問257-2解答)「利かされる形-良いときの手堅さ」
△6六歩には金を取っても歩を取っても駒損する訳ではなく、単なる交換になるだけだが、先手陣が薄くなることと、後手に金駒が入り穴熊を修復しやすくなるということが上げられる。
そこで、このような利かされは普通は辛いことが多いのだが、この局面では▲6八金引と引くのが手堅い一手で、△6五金に▲7二金と張りついて優勢を維持した。

本譜はこの後、▲7三桂と言う寄せの本に出てくるような手筋が飛び出し、一気に後手の穴熊を攻略、投了に追い込んだ。
先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ