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NHK杯に見る受けの手筋

(2010年7月19日出題)

第258問(2010年7月18日 里見女流二冠-小林(裕)六段戦)
(問258-1)
先手里見女流二冠、後手小林六段で先手の早石田。角交換後、先手が▲4六角と打ち、▲7四歩と総攻撃を開始した瞬間に、後手も△4三角と角を好位置に据えてこれを迎え撃った。
そして下図は▲5六飛とかわした手に△4五銀の飛角両取りをかけたところ。ここで指された先手里見女流二冠の一手は?また感想戦でこちらの方が良かったのではと示された一手も。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問258-2)
後手の△6四角と打った手が美濃のコビンを狙い非常に厳しく、下図はすでに後手優勢。今▲3四歩と3五の歩を切りに突き出したところだが、ここで後手小林六段の指した一手は?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問258-1解答)「形勢判断-駒損と玉の固さ」
ここで里見女流二冠は▲7五歩と打って5六の飛車を助けた。▲7五歩に△同飛は▲6四銀があるので△8四飛とかわすが▲7六飛と逃げる場所が出来て、結果△4六銀で角銀交換になる。この手順は、駒損を最小限に抑えるという意味で自然な一手に見える。しかし、感想戦で話された手は▲7二銀や▲7二歩。こう打つと、5六の飛車は取られることになるが、飛銀交換でも8一の桂や香を払って攻め合いにする手があり、十分先手も戦えるとのこと。
形勢判断では駒の損得がもっとも重視されるが、玉の固さを頼りに駒損しても攻め合って均衡が取れていることも良くある。


(問258-2解答)「王手で金銀を取られることは避ける」
ここで、後手小林六段の指した一手は自然な△3四同銀。
相手が攻めてきた手に対し、手抜いて攻める(たとえば△3六歩)と言うことも将棋では良くある。しかし、王手で玉の側の金や銀を取られることはできる限り避けた方が良い。一枚取られても、それ以上に厳しい手や相手玉に必死がかかる場合は、それでも勝てることもあるが、やはり金や銀をはがされると玉が詰みやすくなったり、その金や銀で受けられることもあるからだ。

本譜は△3四同銀とこの歩を払い後手必勝。△3六歩を受ける適当な手もなく、▲3九玉と引いて頑張ったが、この後十数手で先手の投了となった。
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