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NHK杯に見る受けの手筋

(2010年7月26日出題)

第259問(2010年7月25日 島九段-井上八段戦)
(問259-1)
先手島九段の3手目▲6六歩からの矢倉模様に、後手の井上八段は右四間飛車で急戦を挑んだ。
下図は終盤の入口、△3三銀と王手を防ぎながら飛車に当てた手に対し、▲6三歩と飛車取りに打ち返したところ。
こういう手に対しては、駒の配置によって様々な手が考えられるところだが、この局面で井上八段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問259-2)
後手が反撃を開始し、△7六角成から今△6七銀と打ち込んできた。ここで先手島九段の指した一手は?その手は5手目の受けの手まで読みに入れないと指せない一手となっている。

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問259-1解答)「受けに利かせる飛車は一番遠くまで逃げる」
ここで井上八段の指した一手は△9二飛。6五の歩がなかったり、この歩がもっと進んでいれば、△6三同飛と取って攻め合いを目指すことも考えられるが、この局面では当たりがきつくなるだけだ。そこで、受けに利かせる為、飛車を横に逃げたのだが、その場合は、出来るだけ遠くへ逃げておくのが手筋となる。仮に8五の歩が伸びていても、8二へ逃げるのは▲7一角などさらに先手で駒を打たれる手が残るので、受けに利かすだけなら出来るだけ遠くへ逃げておいた方が良い。


(問259-2解答)「例外的な打ち込まれた駒を取る受け」
ここで島九段の指した手は、▲6七同金直△同歩成▲同金。
このようにと金の出来る位置に打ち込まれた駒を取るのは、通常は良くないことが多い。実際、ここでも6七で精算した後、△8七馬と入られると受けが難しいように見える。図で、△8七馬に手筋としては▲6八玉の早逃げだが△8六馬の王手飛車があり出来ない。金がないので、▲7八金とも打てず、普通ならこの局面を想定し▲6七金直とは取らないのだが、解説で言っていたのは、△8七馬に▲7七金の受けを用意しているということだった。△6九金の一手詰を6四の飛車で受けるという薄氷の受け。しかし、これで凌がれると後手も辛い為、実戦は△7五馬と引くことになって、(急がされてはいるが、玉周辺の)後手からの攻めを緩和することに成功した。

本譜は、先手が攻めきれるかギリギリだったが、先に開けて置いた2三の空間へ銀を放り込むと、華麗な手順で一気に後手玉を受けなしに追い込んだ。
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