第270問(2010年10月10日 久保二冠-西川(和)四段戦) |
(問270-1) 先手の久保二冠が先に居飛車を明示、後手の西川四段が角道を止める普通の中飛車を選択した為、居飛車穴熊対振り飛車の戦いとなった。 後手は、向かい飛車に振り直して、巧みな手順で攻撃、優勢に局面をすすめたが、先手のしぶとい受けに形勢は混沌、難しい終盤戦になった。 下図は、先手反撃の第一弾として▲5三桂と打ち込んだところ。3四の馬が利いているため、7一にかわすことはできないが、ここで指された後手西川四段の指した一手は? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問270-2) 終盤戦は双方に受けの妙手が出る面白い将棋となったが、下図は今△5九龍と5三にいた龍を入ったところ。2五に馬がいる為、▲5二金と打つ手も見えるが、それでは手負けと判断した先手の久保二冠は、ここで受けの一手を指した。三手先の妙手を見すえた次の一手は?(三手目まで) |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問270-1解答)「受けの基本-金をかわす」 受けとしてもっとも良く出てくる△6二金直がここでも正解。5三の駒が銀など金駒なら精算する手も考えるが、ここでは桂であるため取るのは駒損になってしまう。そこで、普通はかわす手から読み、△5一金寄や△6二金直から考えることになる。そして、この局面は▲3三馬の後の▲4四桂が見えている為、玉に近い6二の方がまさるという読み。以下、▲3三馬△5七歩成▲同銀△同龍▲4四桂と激しい戦いが続いた。 |
(問270-2解答)「筋を変える中合いの歩」 手を入れるなら▲6九金と龍に当てて打つ手は誰にでも見える。しかし、△2九龍と馬に当て返されると、この馬の筋を金の利きから変える訳にいかず、いきおい▲5二桂成からの攻めを考えてしまい、攻め合い負けしそうにも見える。 ところがさらに読みを踏み込んで▲6九金△2九龍に▲2七歩とここに打った歩が絶妙だった。2九の龍で取れば金取りではなくなるし、1八の龍で取っても利きが急所からそれるので、▲5二桂成が成立しそうだ。実戦はこの歩を取らず、△5一歩とここを守った為、▲5九香とさらに自陣を強化しつつ駒を足して、形勢が徐々に先手に傾いていった。 本譜は、先手優勢になった後も後手も粘りを見せたが、確実な攻めで横と上から網をしぼると、最後は後手玉を即詰みに討ち取った。 |
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