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NHK杯に見る受けの手筋

(2010年10月4日出題)

第269問(2010年10月3日 佐藤(康)九段-屋敷九段戦)
(問269-1)
先手佐藤九段、後手屋敷九段で、先手が端歩を突くという趣向を凝らした横歩取り。どちらが主導権を取るかまだ難しい中盤戦が続くかと思われたが、先手が飛車交換を挑み、それに後手が応じたことで一気に激しい終盤戦へ突入した。
下図は、△8二銀と7三の銀を引いた手に対し▲8三歩と手筋の歩を叩いたところ。ここで指された後手屋敷九段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問269-2)
先手が強引とも思える攻めを敢行したことにより、やや後手が良くなったかと思われたが、実際は難しかったようだ(感想戦で)。8二に作ったと金で5一の金駒を取ることになり、下図はもうどちらが勝っているか分からない状態。ここで、▲6二銀と攻めるのも有力そうだが、佐藤九段はこの局面で受けの一手を指した。先々まで見越したその受けの一手は?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問269-1解答)「自陣の空間を作らない受け」
▲8五桂に△8二銀、▲8三歩に△7一銀と引くのは飛車や歩など打ち込まれる隙をなくすための受け。(▲8三歩に)△8三同銀と取ると、▲8二歩と打たれてしまう(▲8二飛なら△7二銀がある)。△7一銀と引いておけば、先手からの有効な攻めがないという訳だ。
実戦はこれで後手良しかと思われたが、▲7三桂不成という非常手段の攻めがあり、△同桂▲8一飛で、難解な終盤戦へ突入した。


(問269-2解答)「金の入手を見越して龍を近づけておく」
ここで▲4九歩が、深謀遠慮の一着。先手玉を攻めるには、龍を一段目に置いて△5八桂成と成るのが最も早い。その為、△同龍とこの歩を取ることになるが、実戦の進行で▲6二銀△3一玉▲5一飛成△4一金▲同龍△同玉となった時に、▲5九金打が龍取りに打てるという訳。

本譜は、▲5九金打△1九龍となり先手陣がかなり固くなり形勢が傾いた。最後は要の桂も取り自陣を盤石にして後手玉を寄せきった。
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