第273問(2010年10月31日 伊藤(真)四段-羽生NHK杯選手権者戦) |
(問273-1) 先手伊藤四段の角道を止めない中飛車に対し、後手の羽生NHK杯選手権者は、角交換した後、4筋から3筋の位を取り玉頭を盛り上げていった。 下図は、△4四角と打った時からの狙いで、△2五歩▲同歩△2六歩▲同銀に△3六歩と玉頭の攻めを開始したところ。2六の銀が受けづらく、先手苦戦を思わせるが、ここで指された先手伊藤四段の次の一手は? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問273-2) 終盤、巧みに手を作られ、△4八歩成とと金を作られて飛車の取り合いでは明確に一手負けかと思われる下の局面。飛車を取らずに▲2四歩と突き出したのが最後の勝負手。△5九となら、▲2三歩成を決めてから▲8三角成と飛車を取り相当だ。ここで指された後手羽生NHK杯の次の一手は? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問273-1解答)「玉頭を押し返す金上がり」 通常金は上に行くほど弱くなり、「金は引く手に好手あり」は正しいことが多いが、ここで先手の指した一手は力強く上がる▲2七金だった。これは、銀を守るため、ある意味仕方ない金上がりでもあったが、△4八銀などの攻めにもギリギリ凌ぐことが出来、玉頭の勢力をひっくり返す一手にもなっている。 この後、一気につぶせないと思った後手は、△7五歩と少しゆるめて攻めを続行。これに手抜きで、▲3六歩から▲3五銀で玉頭を逆に制圧した。 |
(問273-2解答)「形勢有利の時の辛抱」 歩がたくさんあれば、△4五歩や利かされにはなるが△2二歩など謝ってもそれほど不満はない。しかし歩がないため、▲2三歩成を受けるにはちょっと悩むところだ。しかし、ここで羽生NHK杯の指した一手は△2二銀。部分的にはかなり辛い利かされだが、形勢有利と見た冷静な一手でもあった。 本譜は、この後飛車を取り合いじっと△4九とと寄ったのが好手。最後は先手玉を即詰みに討ち取り後手が勝利した。 |
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